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ジーナ「ローラ、お出かけするわよ」
ジーナ「いらっしゃい」
カイル「お出かけ？」
ジーナ「ちょっとローレンス先生のところに行って来るわね」
カイル「何？ローラ病気？」
ジーナ「昨日から食欲がないのよ。元気もないみたいだし、心配だから念の為先生に診てもらうわ」
カイル「俺も行くよ」
ジーナ「一人で大丈夫。あなたはデイジーをお願い」
カイル「……わかった。気をつけてね」
ブリアナ「あれ、ジーナさんは？」
カイル「ローレンス先生のところに行ったよ」
ブリアナ「ローレンス先生？」
カイル「デイジーとローラを診てもらってる動物病院の先生だよ」
ブリアナ「あぁ！あの爽やかイケメン先生？」
カイル「イケメンじゃない」
ブリアナ「えー？誰が見てもイケメンだと思うけど……」
カイル「イケメンだけど、イケメンじゃないの！」
ブリアナ「お、おう……」
ブリアナ「もしかして愛人君、ヤキモチ焼いてるの？ジーナさん取られないか心配なんだ？」
カイル「そんなんじゃないよ」
カイル「ブリちゃん、仕事もないのにどうしていつも家に来るの？」
ブリアナ「ここならジーナさんの手料理が食べられるから」
ブリアナ「ちなみに、今日はタダ飯食べに来ただけじゃないよ。ちゃんとSNS用の衣装持って来たんだ」
カイル「……もう帰ったら？」
ブリアナ「あからさまに邪魔者扱いしないでよ」
ブリアナ「それにしても、愛人君も変わってるよね。どうしてジーナさんみたいな女性と付き合ってるの？」
ブリアナ「愛人君なら、同じ年頃の可愛い女の子をいくらでも捕まえられるっしょ？」
カイル「俺はジーナさんが良いの」
ブリアナ「だから、どうして？」
カイル「ジーナさんとは、元々ただの飲み仲間だったんだ」
ブリアナ「ははーん、行きつけのバーで一目惚れ……的な？」
カイル「ううん」
カイル「初めて会った時は、ジーナさん昼間からベロベロに酔っ払って警備員に絡んでた」
ブリアナ「……は？」
カイル「俺も最初は関わりたくなかったんだけど、何回か見かけるうちに一緒に飲むようになって……」
カイル「気が付いたら、離れられなくなってた」
ブリアナ「離れられない？」
カイル「ジーナさんと一緒にいると楽しくて、今まで感じたことがないくらい心が満たされた。だから……」
カイル「離婚が決まった時に、今度は俺がジーナさんを幸せにするって誓ったんだ」
ブリアナ「……なるほどね。それ、なんとなくわかるかも」
カイル「え？」
ブリアナ「私さ、バンド活動の傍らでメイクの仕事してるんだけど、こんな見た目だしこんな性格だから、なかなか顧客がつかなくて……」
ブリアナ「『腕が良いって聞いたから仕事を依頼したい』って人でも、実際に会うとキャンセルされることも珍しくなかったんだ」
カイル「俺はブリちゃん好きだし、信頼してるよ」
ブリアナ「ありがとう」
ブリアナ「安定した収入が得られなくて、いよいよバンド辞めないといけないって時に声をかけてくれたのが、ジーナさんだったんだ」
ブリアナ「ジーナさんってさ、損な人だよね」
ブリアナ「気が強くて負けず嫌い。おまけにプライドが高くて意地っ張りだから、誤解されやすいけど……」
カイル（悪口てんこ盛り……）
ブリアナ「どんなに腹が立っても、なんか憎めないんだよね」
ブリアナ「見てて飽きない人だから、ずっと側に居たくなる」
カイル「ブリちゃんも、なんだかんだジーナさんに懐いてるよね」
ブリアナ「あれ？もしかして私、ジーナさんに餌付けされてる？」
カイル「毎日タダ飯食べに来る成果がしっかり出てるね」
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