本気で叱ってくれる人こそ、本気で愛してくれる人ーー
職員A「今月も寄付いただきありがとうございます」
バイオレット「それでは、私はこれで失礼します」
職員A「また子供たちの顔を見にいらしてくださいね」
職員B「あら、ブラックさん帰られたの?」
職員A「えぇ。今月もたくさん寄付してくださったわ」
職員B「有り難いわね。まだお若いのに、一体どんなお仕事をされているのかしら?」
職員A「それが……あまり自分のことは話さないのよ」
職員B「不思議な方ね」
マリオン「Del Sol Valleyで連続窃盗事件ですって。物騒な世の中になったものね」
マリオン「そういえばあんた、先月Del Sol Valleyに行くって言ってたわよね。すごい偶然」
バイオレット「……」
バイオレット「わざわざ嫌味言うために、こんなところまでつけて来たの?」
マリオン「まさか、偶々よ」
マリオン「それにしても、あんたが養護施設に寄付していたとはね……」
マリオン「金だの権力だの欲丸出しだったクセに、一体どういう風の吹き回し?」
バイオレット「別に……実際手に入れてみたら、思っていたものと違った。それだけよ」
マリオン「あぁ、そう。それで持て余した大金を養護施設へ寄付してるってわけ?あんた、義賊にでもなったつもり?」
バイオレット「……」
マリオン「バイオレット。悪い事は言わないから、いい加減足を洗いなさい」
マリオン「金も権力も必要ないなら、もう悪事を働く必要はないでしょう?あんたには、ローズやカイルがいるのよ。カイルを犯罪者の甥っ子にするつもり?」
バイオレット「……今更、引き下がれないわよ」
マリオン「どうして?」
バイオレット「どんなに良い人ぶったって、過去の罪が消えるわけじゃない」
バイオレット「それに……私には必要なくても、お金を必要としている子供達がいる」
マリオン「バイオレット……」
バイオレット「あなた、いつか言っていたわよね」
バイオレット「『手に入れたものが大きければ大きいほど、後々とんでもない代償を支払うことになる』って」
マリオン「……」
バイオレット「ローズが妊娠した時、私すごく怒っちゃった。私なんて、もっとひどいこと隠してるのにね」
バイオレット「ウィルだってそう。警備員だって嘘をついて、ずっと騙してる……」
バイオレット「いずれ、私の犯した罪がバレる瞬間が来る。二人を失うことこそ、私が支払うべき代償なのよ」
バイオレット「いずれ代償を支払うことが決まっているなら、せめて誰かの役に立ちたいの」
マリオン「あんたみたいな良い子が、どこで道を踏み外したのかしらね……」
バイオレット「……」
マリオン「あんたにとって最大の不幸は、道を外しそうな時に、叱ってくれる大人も守ってくれる大人も側にいなかったことね」
バイオレット「……叱ってくれる大人なら、一人知ってる」
マリオン「そうなの?」
バイオレット「あなたよ」
マリオン「あぁ、もう……バイオレット」
マリオン「ローズやウィルが、あんたを見捨てるとは思えないけど……私は側にいてあげるから安心しなさい」
バイオレット「……うん」
バイオレット「ところでマリーちゃん、どうして今日は男性モードなの?」
マリオン「普段の格好で子供のいる施設に近付くと、通報されるのよ」
バイオレット「あぁ……」
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通りがかっただけで通報されます。
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