盲目的な決断は、取り返しのつかない事態を招くーー
バイオレット「それで、ウィルがね……」
ローズ「あ!」
ローズ「あの人、あの人だよお姉ちゃん!」
バイオレット「……何?」
ローズ「この間話した、うちのアパートに住んでるイケメン!」
バイオレット「あぁ……確かにイケメンね」
ローズ「でしょう?」
バイオレット「あら、こっちに来るわよ」
ローズ「……え?」
「バイオレットにローズじゃない!こんなところで会うなんて奇遇ね」
(……って、マリーちゃんかよ!!)
ローズ「何で?どうして??
マリーちゃん、男の人になっちゃったの!?」
マリオン「こんなこと言いたかないけど、私は元々男よ」
バイオレット「今日はまともな……じゃなくて、男性的な格好をしているのね」
マリオン「えぇ、今日は大事なお客さんと会う用事があったからね」
ローズ「お客さんって?」
マリオン「仕事の話よ」
マリオン「悪いわね、疲れたからもう休むわ」
マリオン「あんた達も夜遊びしてないで、ちゃんと帰りなさい」
ローズ「はーい」
ローズ「マリーちゃん、ずっと男の人でいてくれればいいのに……」
バイオレット「……そうね」
マリオン「はぁ……」
マリオン「本当に、しんどい一日だった……」
2時間前ーー
「よう、マリオン。儲かってるか?」
マリオン「オーウェン……報告なんてしなくても、売上状況は逐一チェックしてるクセに」
オーウェン「まぁ、出資者としては当然だな」
マリオン「それで……あの話は考えてくれた?」
オーウェン「独立の話か?」
マリオン「あんたのおかげで店を持てたことには感謝してるけど、最初の出資額を大きく上回る上納金を納めてきた」
マリオン「もう十分でしょう?」
オーウェン「確かに、俺の予想以上の働きに驚いたぜ。
お前がここまでのやり手だとは思わなかった」
マリオン「それじゃあ……」
オーウェン「だが、契約は契約だ」
オーウェン「お前がこの店のオーナーであり続ける限り、俺に納めるものは納めてもらう」
マリオン「……」
オーウェン「なぁ、マリオン。お前にとっても悪い話じゃないだろう?」
オーウェン「独立なんてしなくても、俺が何店舗でも出資してやる。
俺と組んでいる限り、お前が望むビジネスを全て実現できるんだ」
マリオン「……」
マリオン「……望みはただ一つ、あんたと縁を切ることなんだけどね」
オーウェン「おいおい、寂しいこと言うじゃねぇか」
オーウェン「長い付き合いだろう?これからも仲良くしようぜ、な?」
マリオン「……」
マリオン「あの子達には、同じ思いはして欲しくないわねーー」
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ローズは愛人にならなくて正解。
↓オーウェンの初登場回は、こちら。
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