この島には、太古の昔から人魚伝説が存在するーー
クリス「もうこんな時間か……またライアンに小言を言われるな」
クリス「……ん?」
女性「はぁ……」
クリス「あの……すみません」
クリス「具合が悪そうですけど、大丈夫ですか?」
クリス「近くに診療所があるので、お医者さんを呼んできましょうか?」
女性「大丈夫です。放っておいてください」
クリス(子供……?)
クリス「この島の人じゃないですよね?」
女性「……」
クリス「この島には宿泊施設はないんです。よかったら、知人の家を紹介しますよ」
女性「……」
女性「……あなた、親切な人ですね」
クリス「具合が悪そうな人が目の前にいたら、誰だって放っておけませんよ」
女性「……決めました」
女性「この子をお願いします」
クリス「……え?」
女性「私とこの子は、同じ世界では生きられないんです……」
女性「どうかこの子を、人の子として育ててやってください」
クリス「……人の子として?」
女性「あの人も死んでしまって……もう、頼れる人がいないんです」
女性「ルナ、愛してるわ。どうか幸せに」
クリス「あの……」
クリス「ちょっと……!!」
バシャン
クリス「………………人魚?」
クリス「……というわけなんだ」
ライアン「先輩……」
ライアン「朝帰りの言い訳するのに、どんだけ壮大な作り話するつもりですか」
クリス「いや、作り話じゃないんだって……」
ハワード「とりあえず、健康状態に問題はなさそうです。体に異常は見られませんよ」
クリス「先生、朝早くにわざわざ来てくれてありがとうございます」
ハワード「身長の割には体重が足りていないので、栄養のつくものを食べさせてあげてください」
クリス「わかりました」
ハワード「……それにしても、女性の正体が気になりますね」
ライアン「まさか先生、人魚なんて信じてるんですか?」
リタ「あら、人魚なら実在するわよ」
ライアン「リタ!俺に会いに来たのか?」
クリス「子供の世話なんてできないからリタに手伝ってもらおうと思って、俺が呼んだんだよ」
ハワード「リタさんは、人魚について何か知っているんですか?」
リタ「えぇ。この島には、昔から人魚にまつわる伝説があるの」
リタ「太古の昔、人間と人魚には交流があったそうよ」
リタ「人間と人魚が恋をして子供が生まれることもあったけど、人間の血を引く子供は、海の世界では生きられない」
リタ「そこで、子供たちが生きていくために作られたのが、この島の集落よ」
リタ「私たちSulaniの住民は、みんな人魚の子孫なの」
クリス「……それじゃあ、リタも人魚ってこと?」
リタ「そうかもしれないわね」
ハワード「明日、隣の島の警察署に相談しましょう」
ハワード「人間にせよ人魚にせよ、捜索願いは出しておかないと」
クリス「そうですね……」
クリス(この子のためにも、早くお母さんを探さないとな……)
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一番好きなプリンセスは、アリエルです。
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