良い関係を築くためには、距離を置くことも大切ーー
ルナ「クリス、クリス!」
ルナ「抱っこ」
クリス「よし、おいで」
ルナ「クリス大好き」
クリス「ルナ……」
ルナを養子にして、早3年ーー
子育て経験がなく、最初は戸惑うことばかりだったけど……子供の扱いにもすっかり慣れた。
懐いてくれたことが嬉しくて、今では完全にルナ中心の生活を送っている。
俺たちは親子として、良い関係を築いていると思う。誰が見ても俺はルナの父親だし、ルナは俺の娘だ。
あの人がいなければの話だけど……。
ルナ「あ、パパ!」
ハワード「ルナちゃん、今日も元気そうで何よりです」
クリス「……」
クリス「ちょっと先生!何勝手に『パパ』なんて呼ばせているんですか」
ハワード「クリスさんが呼ばせないので、私が代わりに……」
クリス「勝手に代わらないでください」
ハワード「それなら、クリスさんがパパと呼ばせてはどうですか?」
クリス「……」
クリス「……それは無理です」
ハワード「なぜです?」
クリス「ルナのお母さんが迎えに来たら、ややこしいことになるじゃないですか……」
ハワード「あれから3年ですよ?さすがにもう迎えに来ることはないのでは?」
クリス「……」
ハワード「確かルナちゃんのお母さんは、クリスさんが目撃した『人魚』ですよね?」
クリス「えぇ、そうですけど……」
ハワード「……」
ハワード「安心してください。私はルナちゃんはもちろん、お母さんも責任を持って養いますから」
クリス「先生、本気でルナの父親になるつもりなんですね」
ルナのお母さんが迎えに来ることを望みながらも、心のどこかでは恐れている……。
『パパ』と呼ばせないのは、適度な距離を保つため。
いつかルナのお母さんが現れた時に、笑顔でお別れできるようにーー
クリス(それなのに……)
ハワード「さぁ、パパと一緒に砂遊びをしましょうね」
クリス「あんた、本当に羨ましい性格してるな」
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クリスの特質の一つは、『陰気』。
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