頭の良し悪しと要領の良し悪しは、比例しないーー
クリス「よし、できた」
この島の野生植物を、ようやく名産品として売り出せるレベルにまで改良することができた。
ルナを養うための資金はもちろん、ライアンとリタのために、自宅を拡張する資金も稼がないとな……。
この完成した作物を売り出すために、まずは島外への販売ルートを確立しよう。
更に島民のみんなに作物の育て方を教えて、生産量を増やすんだ。
この作物が名産品として定着すれば、農業と観光、二つの稼ぎ口ができる。
上手くいけば、島民の生活を今よりももっと豊かにできるかもしれないな……。
ライアン「先輩、何してるんすか?」
ライアン「ウミガメ来てますよ、ウミガメ!めちゃくちゃ可愛いから見に行きましょうよ」
クリス「……お前は本当に結婚して家庭を築く気があるのか?」
ライアン「あれ?先輩、これ何すか?」
クリス「この島の名産品(予定)」
ライアン「(予定)?」
クリス「そう。島外で売り出すのは、これからだからな」
ライアン「なんだ、売り出すのなんて簡単っすよ!」
クリス「お前はまた、適当なこと言って……」
ライアン「要は、売り込み先と運搬方法が見つかれば良いんすよね?」
ライアン「売り込みに関しては、元一流ビジネスマンの先輩なら、どうとでもなるでしょう?」
クリス「まぁ、営業には自信があるけど……」
クリス「問題は運搬方法だな」
クリス「運搬業者に依頼すると、コストがかかるから儲けが少なくなる。かといって作物の値段を上げると、売れなくなるし……」
ライアン「なら、地元の漁師やダイバーにお願いしたらどうっすか?」
クリス「え?」
ライアン「漁師やダイバーは、毎日仕事で隣の島と行き来しているから、そのついでに作物の運搬をお願いするんですよ。ついでなら、運搬業者よりも安い料金で引き受けてくれるでしょう?」
クリス「確かに……」
ライアン「これで運搬の問題も解決っすね!」
クリス「……お前って時々、賢いこと言うよな」
ライアン「気のせいっすよ」
ライアン「あ、先生とルナだ!」
ライアン「一緒にウミガメ見に行きませんか?」
クリス「……あいつを見ていると、真剣に頭使ってる自分がバカみたいに思えるな」
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クリスは、頭は良いけど要領が悪い。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m