嫌っていた過去の自分に、救われることもあるーー
クリス「ルナ、おいで」
ルナ「クリス、お家できた?」
クリス「ほら、見てごらん」
ルナ「すごーい!大きなお家だね」
ライアン「先輩、マジで豪邸建てたんですね」
クリス「約束したからな。家族も増えたことだし、これくらいの広さは必要だろう?」
リタ「ありがとう、クリス」
リタ「これで安心してエイデンを育てられるわ」
ハワード「それにしても、こんなに広い家なのに……」
ハワード「私とクリスさんは同室なんですね」
クリス「嫌なら、いつでも診療所に戻っていただいて構いませんよ」
ハワード「寝るだけの部屋なので、問題ありません」
クリス「……」
ライアン「先輩、俺あんまり資金出していませんけど……本当に、作物を販売した収益だけで建てたんですか?」
クリス「あー……ちょっとズルをして、ビジネスマン時代の貯金を足したんだ」
リタ「貯金って、いくらくらい?」
クリス「えーっと……このくらい」
リタ「本当?」
リタ「クリスと結婚すれば良かった」
ライアン「ちょっと、リタ!」
ハワード「エイデン君もいることだし、ライアンさんも頑張って稼がないといけませんね」
クリス「そういえば、ライアン。お前、産休を取ったリタにも昇進で負けたらしいな」
ライアン「そうっすね。今はリタが上司っす」
クリス「上司っす、じゃない!」
クリス「家でも職場でも奥さんに頭が上がらないなんて、情けなくはないのか?」
ライアン「俺は育メン目指してるんで、全く気になりません」
クリス「……」
クリス(こんな父親の背中を見て育つエイデンが、不便でならない……)
ハワード「リタさんは、気にならないんですか?」
リタ「元々ライアンはこういう人だって知っているから、平気よ。とにかく私の邪魔にさえならなければ、それで良いわ」
クリス「清々しいほどに割り切っているな……」
ルナ「ライアン、昼食が終わったら釣り教えて」
ライアン「じゃあ、家の前の釣り場に行ってみようか」
ルナ「うん!」
クリス(海洋生物学者を目指し始めた頃は良かったものの、最近のライアンは、以前のだらしない姿に戻っている気がする)
クリス(結婚して子供も生まれて、一番大事な時期だっていうのに……)
クリス(このままにはしておけないなーー)
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クリスの苦労は絶えない。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m