どんなに遠くに離れても、子供を想う気持ちは変わらないーー
クリス「ライアン、環境マネージャーの仕事はどうだ?」
ライアン「研究したり観光客を注意したり、今までの生活と変わりないですね」
クリス「良かったじゃないか。それなら……」
ライアン「先輩?急にどうしたんですか」
クリス「あの人、まさか……」
クリス「こんなところで何してるんですか?」
女性「何でもありません。娘を探しているだけ……」
女性「あ……」
クリス「お久しぶりですね。ルナのお母さん」
ライアン「え、この人がルナのお母さんなんですか!?」
女性「それでは、私はこれで……」
クリス「逃がしませんよ」
クリス「あなたには、聞きたいことが山ほどあるんですから」
女性「………………ですよね」
女性「本当に、申し訳ありませんでした!!」
クリス「まったく……見ず知らずの他人に大事な娘を預けるなんて、一体どういうつもりですか?」
女性「あの時は、彼を亡くしたばかりで精神的に参っていて……あなたを頼るしかなかったんです」
クリス「嘘ですね。あれから役所や警察に散々調べてもらいましたけど、あなたの戸籍は見つかりませんでしたよ」
クリス「一体何者なんですか?」
女性「それは……人間の世界での話でしょう?」
女性「私は、海の世界の住人です。地上に戸籍なんてありません」
ライアン「まさか、本当に人魚だっていうんですか?」
女性「……そうです」
女性「人魚は長時間地上に滞在することはできません。同様に、人魚と人間の子供も、海に長時間滞在することはできない……」
女性「いつかあの子が人魚の姿になれる日が来たとしても、海の中で暮らすことはできません」
女性「私はどう頑張っても、ルナとは一緒に生きられない運命にあるんです」
クリス「……」
クリス「あなた、お名前は?」
女性「『ミア』と申します」
クリス「ずっと探していたんですよ。俺も、ルナも」
ミア「……すみません」
ライアン「時々、様子を見に来ていたんですか?」
ミア「はい。疑っていたわけではないのですが、やっぱり娘のことが心配で……」
ライアン「先輩はルナを養子にして、大切に可愛がっていますよ」
ミア「知っています」
ミア「あんなに立派に育てていただいて、感謝しかありません」
クリス「ルナには、会ってあげないんですか?」
ミア「会えば、お互いに辛くなるだけですから……」
クリス「ルナには、母親の記憶が残っています。少しでも会ってあげてください」
ミア「でも……」
ルナ「ただいま!」
ハワード「すごいですよ!ルナちゃんが、またA評価を……」
ルナ「……」
ルナ「……お母…さん?」
ミア「ルナ……」
後編に続く……。
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※「人魚は地上で生活できない」というのは当ブログの勝手な設定であり、公式では問題なく生活できますm(__)m
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m