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エイベル「おかしいな」
エイベル「親族との縁を切ってまで結婚を望んだクリスタルは亡くなり、アレクサンダーは別の女と結婚している」
エイベル「レイチェル・レッド。見た目も性格も、クリスタルとは真逆のタイプだ」
エイベル「レイチェルは結婚後に男の子を産んでいるが、アレクシスに弟がいるという公式記録はない」
エイベル「つまりレイチェルが産んだ子は、夫であるアレクサンダーとの子供ではなかったということか」
ジュリアン「……そうだよ」
ジュリアン「俺のふしだらな母親は、昔馴染みである教育係との間に子供を作って、アレクサンダーの子供として育てさせた」
ジュリアン「そしてゴールド家を陥れようと企む連中と手を組み、俺を反対勢力のトップに祭り上げようとしたんだ」
エイベル「……」
ジュリアン「俺のことを挑発しようとしても無駄だよ」
ジュリアン「自分の境遇は理解しているし、過去のことはとっくに割り切ってる」
エイベル「……俺がおかしいと言ったのは、アレクシスとお前の関係だ」
ジュリアン「何?」
エイベル「血の繋がらないお前を実の弟のように可愛がり、権力を握らせるなんて正気じゃない」
ジュリアン「そうだね。一番の危険因子を一番近い場所に置くなんて……」
ジュリアン「それが兄さんの良いところであり、恐ろしいところ」
エイベル「……」
ジュリアン「一流の諜報員だという話は本当みたいだね。兄さんに報告してあげるよ」
ジュリアン「エイベル・グラナートは、生かしておく価値があると」
エイベル「約束は守ってもらうぞ」
エイベル「諜報員としてお前たちに協力する代わりに、護衛を頼む」
ジュリアン「わかってるよ。それにしても、よく考えたよね」
ジュリアン「諜報員であることを隠すために、オカルト作家を名乗るなんて。胡散臭い人間を装えば、自然と人は目を背ける」
エイベル「逆だ」
ジュリアン「え?」
エイベル「俺の本業はオカルト作家。諜報員はただの暇潰しだ」
ジュリアン「……冗談でしょう?」
エイベル「本気だ。俺はオカルト作家としてベストセラーを出すまで死ねない。だから護衛を頼みたいんだ」
ジュリアン「……兄さんの従兄弟だから期待してたんだけど、ただの変人だね」
エイベル「なんとでも言え」
ジュリアン「諜報員としてゴールド家に協力してくれるなら、護衛をつけるだけでなく、諜報活動に必要な資金や報酬も用意するよ」
エイベル「報酬だと?……ずいぶん気前の良い話だな」
ジュリアン「実は、もう一つ頼みたいことがあるんだ」
エイベル「頼みたいこと?」
ジュリアン「子供を作ってほしい」
エイベル「……はぁ?」
ジュリアン「兄さんは結婚しているけど、今のところ子供を持つつもりはないらしい」
ジュリアン「このままだとゴールド家の血筋が途絶えてしまう。だから、同じゴールド家の血を引くあんたに子供を残してほしいんだ」
エイベル「子供って、そんなこと急に言われても……」
ジュリアン「急ぐ必要はないよ。でも、考えておいて」
ジュリアン「ジェームズ、少し話せる?」
セドリック「はい」
エイベル「……」
セドリック「ジュリアン様」
セドリック「子供を残せというのは、旦那様のご意向ですか?」
ジュリアン「いや、俺のご意向」
セドリック「また勝手なことを……」
セドリック「遅い時間に護衛を付けずに出歩くのも、禁止されているはずです」
ジュリアン「仕方ないでしょう?日があるうちは出歩けないんだから」
ジュリアン「護衛なんて必要ないよ。ヴァンパイアである俺が、力で人間に負けると思う?」
セドリック「そういう問題では……」
エイベル「……」
エイベル「『ヴァンパイア』……だと?」
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