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ジュリアン「ねぇ、今話せる?」
エイベル「うわっ、びっくりした!ジュリアン、お前かよ……」
エイベル「ヴァンパイアであることを隠す必要がなくなったからといって、堂々と力を使うな。誰かに見られたらどうするんだ、このバカ」
ジュリアン「……その言い方、兄さんそっくり」
エイベル「そうかよ」
エイベル「そもそも飲み屋じゃねぇんだから、フラッと立ち寄るな。事前に連絡してから来い」
ジュリアン「何それ、面倒臭い。帰宅途中にフラッと寄れるから、急な呼び出しにも応じてあげられているんだよ」
ジュリアン「俺のこと暇人だと思ってるの?事前連絡なんて手間かけるくらいなら、そもそも顔を出したりしない」
エイベル「……帰宅途中?」
ジュリアン「そう」
ジュリアン「俺の家、近所だから」
エイベル「……」
エイベル「お前の家、隣かよ!?」
ジュリアン「あのさ、仮にも諜報員なんだから少しは自分の身辺も調べておいたら?」
エイベル「……ご近所付き合いが嫌で、あえて調べてなかったんだよ」
エイベル「なんだ、近所なら無理に来てくれなくても会いに行ったのに」
ジュリアン「それはやめて。子供にはあんたのこと話してないから」
エイベル「……今、なんて言った?」
ジュリアン「やめてって言った」
エイベル「そうじゃなくて、『子供』って言わなかったか?」
ジュリアン「言ったよ。それが何?」
エイベル「お前、子供がいるのか!?」
ジュリアン「そうだよ。俺のこと調べたんじゃなかったの?」
エイベル「もちろん調べたけど、独身だって……」
ジュリアン「独身だよ。結婚はしていないけど、実の息子がいる」
エイベル「……」
ジュリアン「まぁ、いいや。息子について話しに来たわけじゃない。あんたをヴァンパイアに変える件について話しに来たんだ」
エイベル「ヴァンパイアに変えてくれるのか?」
ジュリアン「変えても良いよ。ただし、話しておくことがある」
ジュリアン「俺は生まれついてのヴァンパイアだ。誰かにヴァンパイアに変えられたわけではないし、誰かをヴァンパイアに変えたこともない」
ジュリアン「人間をヴァンパイアに変える方法は知っているけど、成功事例がないんだ。失敗する可能性だってある」
エイベル「……」
ジュリアン「普通の人間で試してみたいところだけど、見ず知らずの他人で試して大事になっても困る。だからといって、兄さんに近い血を持つあんたでいきなり試すわけにはいかない」
ジュリアン「そこで……」
セドリック「……何ですか?」
ジュリアン「ジェームズに実験台になってほしいんだ」
セドリック「……え?」
エイベル「まぁ、俺の命を守るためにいるんだから、セドリックが実験台になるのは当然だよな」
セドリック(当然……?)
ジュリアン「というわけで、まずはジェームズをヴァンパイアに変えてみることにしたから」
セドリック「俺は了承していません」
ジュリアン「じゃあ、いきなり本番ってことになるけど良いんだね?」
セドリック「それは……」
エイベル「ヴァンパイアに変わる過程で命を落とした人間はいないし、失敗した事例を見ても『ヴァンパイアになれずに人間のままだった』それだけだ」
エイベル「仮にヴァンパイアになっても人間になる方法があるらしいから、安心しろ」
セドリック「しかし……」
ジュリアン「待って。今、ヴァンパイアが人間になる方法があるって言った?」
エイベル「あぁ」
エイベル「具体的な方法は知らないが、文献には人間になったヴァンパイアがいると書いてあった」
ジュリアン「まさか、そんなことが……?」
エイベル「……」
エイベル「人間になる方法自体は、文献には載っていなかった。もっと専門的で確かな情報が必要だ」
ジュリアン「……」
エイベル「というわけだ、安心して実験台になってくれ」
セドリック「今の話のどこに安心できる要素があったんですか?」
ジュリアン「ジェームズの心の準備ができたら試してみようか」
エイベル「そうだな」
セドリック「勝手に話しを進めないでください……!!」
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m