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エイベル「反対勢力のメンバーリストを作れ?」
ジュリアン「状況が変わったんだ。早急にお願い」
エイベル「そう言われても……」
エイベル「協力するとは言ったが、タイミングが悪い。連載の締め切りが近いから今は無理だ」
ジュリアン「ゴールド家の未来よりも、下らないマイナーオカルト雑誌を取る気?」
エイベル「下らないとはなんだ。俺にとっては、ゴールド家の未来よりも大事なものなんだよ」
ジュリアン「……事の重大さがわかっていないみたいだね」
ジュリアン「ゴールド家に諜報員がいないとでも?」
エイベル「あ?」
ジュリアン「ゴールド家はすでに一流の諜報員を何人も抱えているし、中にはあんたよりも優秀な諜報員だっている」
エイベル「だったら、そいつに仕事を依頼すれば良いじゃねぇか」
ジュリアン「それができないから、あんたに依頼してるんだよ」
エイベル「何?」
ジュリアン「実は、リストはほぼ完成している。でもその内容が信用できないんだ」
ジュリアン「反対勢力に関係していると思われるメンバーは、内外にたくさんいる。兄さんは、ゴールド家が抱えている諜報員の中にも、反対勢力に関係している人間がいるかもしれないと疑っているんだ」
エイベル「……誰も信用できないってことか」
ジュリアン「その通り」
ジュリアン「長年ゴールド家に仕えている人間も信用できない状況で、唯一信用できるのはあんただけ」
エイベル「俺?」
ジュリアン「あんたは、ゴールド家の血筋であることすら知らなかった」
ジュリアン「ゴールド家に味方するほど思い入れはないけれど、裏を返せば、ゴールド家と敵対するほど恨みも抱いていない」
ジュリアン「完璧な『中立的存在』なんだ」
エイベル「……」
ジュリアン「あんたには、改めて反対勢力のメンバーリストを作り、まだ正体がわかっていない中枢メンバーを調べてもらいたい」
ジュリアン「完成したあんたのリストと既存のリストを照らし合わせて相違なければ、正確なリストが完成するはず」
エイベル「そんなに重要なリストなのか?」
ジュリアン「兄さんは、リストの人間を一掃しようとしている」
ジュリアン「本来リストに入らないはずの人間が、リストに入っていたら?本来リストに入るはずだった人間が、リストから漏れていたとしたら?」
エイベル「……」
ジュリアン「わかる?リスト次第で、何万人もの人間の人生が変わってしまうんだ」
ジュリアン「リストの作成とオカルト小説の執筆、どっちが大事かわからないほど馬鹿じゃないよね?」
エイベル「……」
エイベル「あーあ、またハンナにうるさく言われるな……」
セドリック「エイベル様。リストの作成は順調ですか?」
エイベル「いや、反対勢力について調べるだけで精一杯。リストどころじゃねぇな……」
エイベル「わかったことといえば、ゴールド家にはとんでもなく厄介な敵がたくさんいるってことだけだ」
エイベル「ゴールド家の当主なんて聞こえは良いが、アレクシスには心から同情するよ」
エイベル「兄の子供に産まれるか、妹の子供に産まれるか。それだけの差でこれほどまでに人生に差が出るとはな……」
セドリック「……」
セドリック「アレクシス様は、子供を持つことを考えているようです」
エイベル「そうなのか?」
セドリック「今なら、まだ間に合いますよ」
エイベル「……どういう意味だ?」
セドリック「その気になれば、エイベル様がゴールド家当主の座を手にする未来があるということです」
エイベル「……俺のことを試してるのか?」
セドリック「一つの権利と可能性を示したまでです」
エイベル「俺は、ゴールド家の当主の座なんて面倒なものに興味はない。アレクシスに同情はしても、成り代わりたいなんて思わねぇよ」
エイベル「自分の身を守る以外に、俺がゴールド家に味方する理由があるとすれば……」
エイベル「ジュリアンやセドリックが、ゴールド家に味方する人間が、不幸になる様は見たくない。それだけだ」
エイベル「下らない質問をするな」
エイベル「仕事に戻る」
セドリック「エイベル様……」
セドリック「……」
セドリック「アメリア様によく似ているな」
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