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『エイベル様』
『お夕食の準備が整いました』
『……いらない』
『食べたくない』
『まぁ……』
『また学校でお友達に何か言われたのですか?』
『……』
『勉強も運動もできないって揶揄ってくるような奴ら、友達じゃない』
『僕はできないわけじゃない。興味が湧かないことをしたくないだけだ』
『えぇ、その通りです』
『ロレッタは知っていますよ。エイベル様がたくさんの才能をお持ちだということを』
『外国に興味を持たれた時には、10カ国以上の言語を習得されましたね。チェスに興味を持たれた時には、初めて出場した大会で優勝なさいました』
『……そんなの自慢にならない』
『いいえ、いずれも誇らしいことですよ』
『学校では、まだ誰もエイベル様の才能に気づいていないだけです』
『いずれ、エイベル様のことを理解してくださるお友達が見つかりますよ』
『どうかな……』
『自信を持たれてください』
『そのお体には、”高貴な血”が流れているのですから』
『”高貴な血”……?』
『エイベル様は、特別な存在だということです』
『意味がわからない』
『今はわからなくて良いのです』
『エイベル様が成人された時に、お父様とお母様からその意味を教えていただけますよ』
『……わかった』
今思えば、あの時に無理矢理にでも聞き出しておけば良かった。
両親と世話係のロレッタは、俺の成人を待たずに交通事故に巻き込まれて亡くなった。
身内のいない俺を、たった一人残して……。
あらゆる手を尽くして調べてみたが、結局”高貴な血”の意味はわからずじまい。
何が特別なのか。俺は一体、何者なのか。
自分の正体を知ることなく、このまま一生を終えるのだろうかーー
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m