どんなに近くにいても、心の距離を感じることがあるーー
ガチャ
セシル「ただいま」
ケヴィン「セシル、おかえり」
セシル「まだ起きていたのか……」
ケヴィン「もしかして、夕飯まだか?」
セシル「あぁ」
ケヴィン「いただきます」
セシル「……ケヴィン、毎回俺の帰りを待たなくていいんだぞ」
ケヴィン「一人で食べる食事って、味気ないだろう?
それに、俺も完成させたい絵があったから丁度良かった」
セシル「仕事、忙しいのか?」
ケヴィン「あぁ。実は、3ヶ月後に個展を開くことが決まったんだ」
ケヴィン「といっても、複数人での共同開催だから個人展ではないけど……」
セシル「すごいな。子供たちも喜んだだろう?」
ケヴィン「いや、まだ報告してない」
ケヴィン「真っ先に、セシルに報告したかったから」
セシル「……そうか。子供たちと見に行くから、頑張れよ」
ケヴィン「あぁ、ありがとう」
セシル「……お前、明るくなったな」
ケヴィン「そうか?」
セシル「職場の付き合いや子供達の学校行事にも、積極的に参加するようになったし……」
ケヴィン「どっちも義務で参加してるようなものだけどな」
セシル「まぁ、良い傾向なんじゃないか。クロエとエマも喜んでいたことだし」
ケヴィン「クロエとエマが?」
セシル「パパはママ友からモテモテだから、再婚する日はそう遠くないかもって」
ケヴィン「そんなこと言ってたのか?」
セシル「あぁ」
(続きがあったけどな……)
クロエ『セシル、パパを取られても良いの?』
エマ『セシルももっと頑張らないと!ちゃんと聞いてるの?』
セシル『……はい』
セシル「子供たちの意見は抜きにしても、そろそろ恋人くらい作っても良いんじゃないか?」
セシル「まだ若いんだし、周りにはお前に好意を寄せてる奴だっているんだろう?」
ケヴィン「セシル……」
ケヴィン「俺は今後、誰とも付き合う気はないよ」
ケヴィン「前を向いて生きようと決めたけど、リリアンを忘れたわけじゃない」
セシル「……」
ケヴィン「別に我慢したり遠慮しているわけではなくて、本当に恋人が欲しいと思えないんだ」
ケヴィン「きっと俺はもう、リリアンと過ごした6年間で一生分の恋をしたんだろうな」
セシル「……これから一生、リリアンを想って生きるつもりか?」
ケヴィン「そうだ」
セシル「本当にそれで良いのか?」
ケヴィン「……あぁ」
ケヴィン「そうしたいんだ」
クロエ、エマ……。
どう頑張っても、俺に勝ち目はないらしいーー
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テディが立派に成長してくれました。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m