頭の整理はできても、心の整理ができるとは限らないーー
クロエ「もうパパ!勝手に部屋に入らないでって言ったでしょう?」
エマ「本当にデリカシーがないんだから!少しは女心について勉強したら?」
ケヴィン「……ごめんなさい」
クロエ「そういえば、セシルは?」
エマ「また出かけてるの?買い物に連れて行って欲しかったのに」
ケヴィン「それじゃあ、パパが……」
エマ「パパは服のセンス最悪だからダメ!」
クロエ「パパじゃなくて、セシルに選んで欲しいの」
ケヴィン「そ、そっか……」
ケヴィン(昔はパパ、パパって甘えてくれたのに……)
ケヴィン(思春期を迎えてから、当たりが強くなった気がする)
ケヴィン(セシル、頼むから早く帰って来てくれ……)
ジェシー「なぁ、セシル」
ジェシー「夕飯、何にする?」
セシル「いつもの」
ジェシー「また?」
ジェシー「本当に好きだな」
セシル「……飽きたか?」
ジェシー「いいよ、作ってやる」
付き合う前から知ってはいたけど、ジェシーは完璧だ。
手先は器用だし、気配りができる。なにより、俺にとことん尽くしてくれる。
仕事の話も音楽の話もできる奴は、ジェシーを除いて他にはいない。
俺は、ジェシーが好きだーー
この気持ちに嘘はないし、この感情はきっと、愛というやつなのだろう。
セシル(それなのに……)
ジェシー「なぁ、俺ってまだ恋人(仮)なのか?」
セシル「……」
ジェシー「まぁ俺としては、肩書きなんてどうでも良いけど」
ジェシー「子供達も成長したことだし、いい加減この家に引っ越してきたらどうだ?」
ジェシー「そもそも大学を出たら、俺と暮らすって約束だっただろう?」
セシル「……成長はしたけど、絶賛反抗期中なんだよ」
セシル「子供達が自立するまでは、あの家にいるつもりだ」
ジェシー「……」
ジェシー「子供達のため……ね」
セシル「……何だよ?」
ジェシー「別に」
セシル「……」
セシル(いまだにあの家に……ケヴィンに執着してしまうのは、なぜだろう?)
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セシルを甘やかし放題のジェシー。
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