今日という日を、いつか笑って話せる時が来るのだろうかーー
セシル「なぜだ……。
お前達が引っ越して来て、たった半日だぞ」
セシル「どうしてこうなった」
ケヴィン「よう、セシル・ブラウン。子育ての現実にようこそ」
セシル「あ?」
クロエ「チェチル?」
セシル「……セシル」
クロエ「チェ・チ・ル」
セシル「セ・シ・ル」
セシル「……アホなのか?」
ケヴィン「舌足らずなんだよ」
ケヴィン「なぁ、世話になっておいてなんだけど……。
本当に子育てなんてできるのか?」
ケヴィン「そもそもお前、子供嫌いの特質じゃ……」
セシル「おい、ケヴィン」
ケヴィン「? なんだよ」
セシル「クロエだかエマだかが、外に出て行ったぞ」
ケヴィン「……え?」
ケヴィン「エマ!!!!」
ケヴィン「よーし、エマ。お外は寒いからお家にいような」
セシル「……なぁ、ケヴィン」
ケヴィン「今度はなんだよ?」
セシル「子供って泳げるのか?」
ケヴィン「え?まだ無理だよ」
セシル「…………」
ケヴィン「…………」
セシル「……プール見て来る」
ケヴィン「クロエ!!!!」
ケヴィン「疲れた……。人生で一番疲れた……」
セシル「お前、3ヶ月も一人で育児してたくせに、子育て下手だな」
ケヴィン「いい加減殴るぞ」
ケヴィン「子育てをサポートするって、お前全然やる気ねぇじゃねーか!!」
セシル「あ?」
セシル「やる気の問題じゃなくて、お前の指示の出し方の問題だ!!」
ケヴィン「……指示?」
セシル「俺は子育て未経験者だぞ。何をどうして欲しいのか、具体的に指示しろ。
ただ『手伝え』だの『見てろ』なんて言われても、わからねぇよ」
ケヴィン「……なるほど。気をつけるよ」
セシル「……子供なんて、勝手に走り回ったり泳ぎ回ったりするもんだと思ってた」
ケヴィン「犬かよ」
セシル「……悪かった。明日からはもっと積極的にサポートする」
ケヴィン「セシル……」
ケヴィン「あぁ、期待してる」
セシル「よーし、飯にするぞ」
セシル「席に着かせて……」
セシル「スプーンとシリアルを与える……と。
どうだクロエ、美味いか?」
ケヴィン「あれ?もうごはん済んだのか?」
セシル「言っただろ?」
セシル「的確な指示さえあれば、子育てなんて楽勝だ。なぁ、クロエ」
ケヴィン「この子は『エマ』だ、バカ」
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子育て以前に、常識の問題。
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