大切な存在が、いつまでも側に在るとは限らないーー
助手「先生、展示はこれでよろしいですか?」
ケヴィン「あぁ、問題ないよ」
助手「いよいよ明日からですね。よろしくお願いします」
ケヴィン「遅くまでありがとう。今日はゆっくり休んで」
助手「はい。では、失礼します」
個展のために、San Myshunoにやって来て一週間ーー
準備の合間にセシルを探してはみたけど、こんなに広い街じゃ簡単に見つかるわけもない。
個展が終わるまでに、再会できれば良いが……。
ケヴィン「ダメだな。今は仕事に集中しないと」
ケヴィン「今日はもう、ホテルで休むか……」
ケヴィン「……セシル?」
ケヴィン「セシ……」
ジェシー「セシル!」
セシル「……遅い」
ジェシー「悪い。思ったより長引いた……」
セシル「……腹減った」
ジェシー「何食べる?いつもの店で良いか?」
セシル「この時間じゃ混んでるだろう?」
ジェシー「一応、席は取ってある」
セシル「予約してあるのか?」
ジェシー「あぁ」
ジェシー「機嫌、治った?」
セシル「……まぁな」
ジェシー「簡単だな」
セシル「うるせぇ」
ジェシー「悪かったよ」
セシル「……ジェシー」
ジェシー「お詫びの印」
ジェシー「な?」
セシル「お詫びになってない」
ジェシー「行こう。俺も腹減った」
セシル「……そうだな」
ケヴィン「なんだこれ……」
こんなセシルを、俺は知らない。
幼なじみでも親友でも、同居人でもない。
愛しい人の隣で幸せそうに笑う、恋人の顔をしたセシルーー
本当にバカだな、俺。リリアンの死から何も学んでいない。
大切な存在が、いつまでも当たり前に側にいてくれるとは限らないのにーー
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実はジェシーの家と個展会場は、目と鼻の先です。
(赤矢印:ジェシー宅 黒矢印:個展会場)
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m