大切なものを守るためには、闘うことも必要であるーー
ジェシー「……ここか」
サマンサ「先生、そろそろ休憩なされてはいかがですか?」
ケヴィン「あぁ、ありがとう」
ジェシー「あんたがケヴィン・グリーンか?」
ケヴィン「……ジェシー・カーキ」
ジェシー「へぇ……俺のこと知ってるのか?有名な画家の先生に知っていてもらえたとは、光栄だな」
ケヴィン「有名な作詞家の先生が、こんなところで何してるんだ?」
ジェシー「あんたの絵を買いに来たんだ」
ケヴィン「……え?」
ジェシー「ちょうどトイレに飾る絵が欲しくてな」
ケヴィン「トイレって……油絵がどれだけ湿気に弱いか知ってるのか?」
ジェシー「だからトイレに飾るんだよ」
ケヴィン「お前……」
ケヴィン「わざわざケンカ売りに来たのかよ?」
ジェシー「ケンカというより、忠告だな」
ケヴィン「……忠告?」
ジェシー「セシルに近付くな」
ケヴィン「……」
ジェシー「セシルは俺の婚約者だ。手を出したら許さない」
ケヴィン「手なんて……」
ジェシー「セシルに会っただろう?あいつ、かなり動揺してた」
ジェシー「あいつがあんなに動揺するなんて、考えられる原因はあんただけだ」
ケヴィン「……」
ジェシー「あんたは知らないだろうけど、セシルをずっと支えて来たのは、この俺だ」
ジェシー「亡くなった奥さんや双子の子供を優先するあんたとは違って、俺は誰よりもセシルを愛している」
ジェシー「セシルを想う気持ちが少しでもあるなら、これ以上関わるな。いいな?」
ケヴィン「……」
ジェシー『亡くなった奥さんや双子の子供を優先するあんたとは違って』
ケヴィン(あいつには、なんでも話しているんだな……)
ケヴィン(悔しいけど、あいつの言う通りだ。俺は自分のことばかり優先して、セシルを支えてやることなんてなかった)
ケヴィン(セシルの幸せを想うなら、このままあいつと結ばれることが一番なのだろう)
セシル『お前といると辛い想いばかり……ジェシーは、俺にこんな想いはさせない』
セシル『お前がリリアンを裏切れなかったように、俺もジェシーは裏切れない』
ケヴィン「……」
ケヴィン「どうして俺はいつも、失わないと気付けないんだろうな……」
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何も知らないケヴィン、何でも知ってるジェシー。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m