何かを得るためには、何かを手放さなければならないこともあるーー
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
ここ数日、セシルの様子がおかしい。
一人で考え込むことが多いし、落ち込んでいるようにも見える。
何か不満があるのか?
まさか、ジェシーとよりを戻したいとか……?
交際をはじめて日は浅いけど、セシルとの付き合いは30年近くになる。
俺との関係の変化が実感できなくて、物足りなさを感じているのかもしれない。
俺たちが特別な関係になったことを象徴する、『証』が必要だーー
ケヴィン「セシル!」
セシル「ケヴィン!」
ケヴィン「あ……セシルから話せよ」
セシル「あぁ……いや、ケヴィンからで良い」
ケヴィン「そうか?……わかった」
ケヴィン「付き合いはじめて間もないけど、俺たちはもう十分強い絆で結ばれているよな」
セシル「え?……あぁ」
ケヴィン「セシル・ブラウン。俺と結婚してください」
セシル「………………」
セシル「あー……悪い、やっぱり俺から話せば良かった……」
ケヴィン「……え?」
セシル「ケヴィン、とりあえず座ってくれ」
ケヴィン「なんだよ?」
セシル「リリアンとの結婚指輪を外してまでプロポーズしてくれたのに、申し訳ないんだが……」
ケヴィン「……だが?」
セシル「俺と別れてくれ」
ケヴィン「………………」
ケヴィン「………………」
ケヴィン「………………」
ケヴィン「はぁ!?」
ケヴィン「どうして!?なんで急にそんな……」
ケヴィン「ジェシーか!」
セシル「……は?」
ケヴィン「やっぱりジェシーとよりを戻したいんだろう!?」
セシル「やっぱり……?」
ケヴィン「確かに俺はあいつみたいに色気はないし、音楽も知らないし、バツイチ子持ちだけど……」
セシル「ケヴィン」
ケヴィン「それでも、セシルを想う気持ちは絶対に負けてな……」
セシル「ケヴィン、落ち着けって」
セシル「なんでジェシーが出てくるんだよ?」
ケヴィン「だって……」
セシル「ジェシーなんて、もう最低限の業務連絡しか来ねぇよ」
ケヴィン「……ダイレクトメールみたいだな」
ケヴィン「ジェシーが原因じゃないなら、なんで急に別れるなんて言い出したんだ?」
セシル「……」
セシル「お前に非はない。完全に俺の問題だ」
セシル「まぁ……俺というよりは、実家の問題だけどな」
ケヴィン「実家って……ゴールド家でなにかあったのか?」
セシル「親父の容態が悪いらしい。もって数日だそうだ」
ケヴィン「そんな……」
セシル「親父が死んだら、あの家を護れる奴がいなくなる。だから、俺が跡を継ぐことにしたんだ」
ケヴィン「セシルが?でも、実家は弟に任せたって……」
セシル「その弟が失踪した上に、親父の実の子供でもなかったんだよ」
ケヴィン「え?」
セシル「とにかく、俺は実家に戻らなければならない。だから別れて欲しいんだ」
ケヴィン「ちょっと待て」
ケヴィン「セシルが実家を継ぐのはわかったけど、それがどうして俺と別れる理由になるんだ?」
セシル「お前、あの家嫌いだろう?」
ケヴィン「嫌いって……」
ケヴィン「まぁ、一般庶民の俺からすれば、決してリラックスできる家ではないけど……」
ケヴィン「セシルが戻るっていうなら、俺もついていく」
セシル「良いのか?あの家には、ワイアットもいるんだぞ?」
ケヴィン「ワイアットって……あの怖い執事か?」
ケヴィン「俺、怒られた記憶しかないんだけど……」
セシル「お前が人の家のプールに金魚放流したり、階段の手すりで滑って遊んだりするからだろう?」
ケヴィン「あれは、お前が面白いからやってみろって……」
セシル「一緒に戻るにせよ、まずは親父を看取らなければならない。しばらくは別居することになるな」
セシル「落ち着いたら、連絡する」
ケヴィン「……」
ケヴィン「わかった。俺は、この家で待ってるよ。だから……」
ケヴィン「別れるのだけはナシだ」
セシル「ケヴィン……」
セシル「わかった」
----------------------------------------
本人はいないのに、ジェシーの存在感がすごい。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m