大切な人は、辛い時にこそ会いたくなるーー
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
女性客A「ねぇ、知ってる?」
女性客A「San Myshunoで、記憶喪失の男性が見つかったんだって」
女性客B「なにそれ、こわーい!事件かな?」
女性客A「事件性がないか、警察が捜査中だって」
女性客B「ジェシーも気をつけてね」
ジェシー「女の子に心配される日が来るとはな。お前たちこそ、気をつけて帰れよ」
女性客B「はーい」
女性客A「またね!ジェシー」
ジェシー「さてと……」
ジェシー(あれ?あいつ……)
ジェシー「マスター、閉めて良いか?」
マリオン「えぇ、お願い」
ジェシー「なぁ……今話してた人、誰?」
マリオン「オーウェン・シルバーっていう投資家よ。この店を出す時に出資してもらったの」
マリオン「今日みたいに、時々店の様子を見に来るのよ」
ローズ『マリーちゃんのお店を買い取ってもらえるかも』
ジェシー「……」
マリオン「ところでジェシー、あんたいつまで私の家にいるつもり?いい加減、自分の家に帰りなさい」
ジェシー「あの家には戻りたくない」
マリオン「それなら店の手伝いなんてしてないで、新居を探しなさいよ。お金はあるんでしょう?」
ジェシー「あー……もうしばらく、世話になろうかな」
マリオン「え?」
ジェシー「カクテルの作り方と、バーの経営方法を学びたいんだ」
ジェシー「店にいる間は、仕事が忙しくて全然話せないけど……家でなら教えてくれるだろう?一緒に住んでいた方が、なにかと都合が良い」
マリオン「あんた、店でもはじめる気?」
ジェシー「あぁ。将来は、音楽家が集まるバーを開きたいんだ」
ジェシー「ミュージシャンが集まるバーはあるけど、作詞家や作曲家が集まる店って聞かないだろう?だから、若い子たちが夢を語れるようなバーがあれば良いな……って」
マリオン「あぁ、そう。つまり私にライバルとなる同業者を育てろと?」
ジェシー「ライバルになるのが嫌なら、共同経営は?」
マリオン「嫌よ。共同経営はしない主義なの。特に、大切な友人とはね」
ジェシー「どうして?」
マリオン「お金のことや経営方針で揉めたくないのよ」
ジェシー「マスターは、仕事に対するこだわりが強いからな」
マリオン「家に居座るのは構わないけど……そもそも、なんで私のところに来たのよ?友達多いんだから、行くあてなんていくらでもあったでしょう?」
ジェシー「友達っていっても、音楽関係者ばかりだからな。作詞家辞めること、根掘り葉掘り聞かれたくなかったんだよ。それに….…」
ジェシー「あの日、家を出た時は頭が真っ白で……気が付いたら、この店にいたんだ」
ジェシー「とにかく、マスターの顔が見たくて」
マリオン「……なによそれ」
マリオン「私は、あんたのお母さんじゃないのよ?」
ジェシー「わかってるって」
マリオン「お父さんでもないから」
ジェシー(お母さんより嫌なのか……)
マリオン「それにしても、あんたが本気で店を持ちたがっているなんて思わなかったわ」
ジェシー「ここに飲みに来ている頃から、店を持ちたいって思ってたんだ」
マリオン「そうだったの?」
ジェシー「仕事してるマスターが、カッコ良かったから」
マリオン「……」
ジェシー「開業資金はあるから、あとはスキルの問題だな」
マリオン「……そう」
マリオン「いいわ、あんたに経営のノウハウを教えてあげる。お酒の作り方もね」
ジェシー「本当?」
マリオン「ただし、私は厳しいわよ?あんたについて来れる?」
ジェシー「俺のことなら、よく知ってるだろう?」
マリオン「そうね」
マリオン「期待しているわよ。新人さん」
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ジェシーは居候する代わりに、無給で働いています。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m