使い捨てられるか救われるかは、上司の選択次第。
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↓Season 2の第1話は、こちら。
クリス「地下工事が得意なリフォーム業者?」
クリス「それなら、俺よりもワイアットさんやマリアさんに聞いた方が早いんじゃないですか?」
ジュリアン「そうしたいところだけど……」
ジュリアン「マリアがつわりでナーバスになっているらしいから、あまり本家には近づきたくないんだよね」
クリス「あぁ……それで最近リックさんやワイアットさんが、神経質になっているんですか?」
ジュリアン「そう」
ジュリアン「今のマリアは、寝起きの兄さんより機嫌が悪いらしいよ」
クリス「最悪ですね……」
クリス「それにしても、地下なんて何に使うんですか?倉庫を作るとか?」
ジュリアン「俺の寝室にするんだ」
クリス「寝室?」
ジュリアン「今まではワインセラーで寝ていたんだけど、さすがに地下室作れってジェシーに怒られた」
クリス「……ワインセラー?」
クリス「もしかして、ケヴィンさんのアトリエ横にある棺って、ジュリアンさんのものですか?」
ジュリアン「あれは俺のベッド」
クリス「なんだ……てっきり、会長が気に入らない部下の息の根を止めて、隠しているのかと思いました」
ジュリアン「なにそれ」
ジュリアン「自宅に遺体なんて隠すわけないでしょう?」
クリス「そうですよね」
ジュリアン「遺体の隠し場所は別にあるから、大丈夫だよ」
クリス「……」
クリス「冗談ですよね?」
ジュリアン「さぁね」
イーサン「どこだ?」
イーサン「クソッ……どこにあるんだ?」
セシル「お前が探しているのは、このファイルか?」
イーサン「……」
イーサン「会長?」
セシル「イーサン、お前に話がある」
イーサン「……」
セシル「ここ数年、本社の機密情報が外部に流出する事件が度々起こっている」
セシル「犯人はお前だな、イーサン」
イーサン「……」
イーサン「バイオレット・ブラックから聞き出したのか?」
セシル「……そんな人間は知らない」
イーサン「知っているはずだ。俺は、組織の中でも特殊な仕事を任されていた」
イーサン「俺の存在を知っているのは、ごく一部の幹部だけ。そして組織を裏切った幹部は、バイオレット・ブラックただ一人だ」
セシル「……」
セシル「俺がお前に目をつけたのは、降格されてもこの会社に残り続けたからだ」
セシル「お前のような出世欲むき出しの男が、引き抜きに応じないわけがない。この会社に留まり続けなければならない、『余程の理由』があると思ったんだ」
イーサン「……」
セシル「イーサン、お前に選ばせてやろう」
イーサン「選ぶ?」
セシル「そうだ。この会社を去って組織と共に心中するか、警察に組織を売ってこの会社に残るか、好きな方を選べ」
イーサン「冗談だろう?……まだ俺を雇う気でいるのか?」
セシル「この会社のウリは多様性だ。使える人間なら誰でも使う。たとえ元犯罪者でもな。それがゴールド財閥だ」
セシル「俺がお前をビクトリアの下につけたのは、お前の正体を探るためだけじゃない。経営者として育てるためでもある」
イーサン「……」
セシル「お前のボスがどんな人間かは知らないが、少なくとも俺は、部下を見捨てるようなことはしない」
セシル「お前がこの会社に残る意思があるというのなら、司法取引のために弁護士を用意してやろう」
セシル「さぁ、どうする?」
セシル『お前には今後、経営者としての指導をする。将来的には小さな会社一つくらい任せても良いだろう』
セシル『頑張れるか?』
イーサン「会長……」
イーサン「あんたやっぱり、バカ息子だ」
ビクトリア「彼、いつ頃戻って来られるでしょう?」
セシル「あいつは、バイオレット・ブラック以上の情報を握っているはずだ。これで組織は完全に壊滅させることができる」
セシル「実刑は免れないだろうが、警察に大きく貢献すれば数年で戻って来られるだろう」
ビクトリア「また教育できる日を楽しみにしています」
セシル「まぁ、戻ってきたところで当面はカフェ勤務だけどな」
ビクトリア「……また降格させるつもりですか?」
セシル「当たり前だ。一度ならず二度までも俺をバカ息子呼ばわりしやがって」
セシル「3年は正社員に戻してやらねぇからな」
ビクトリア「……」
ビクトリア(『バカ息子』呼ばわりは、会社を裏切った事実以上に腹が立つのね……)
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イーサンは、バイオレットがウィルに語っていた「施設で一緒に育った男の子」です。
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