結婚は、失うものもあれば得るものもある。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
ローズ「ジュリアン・ゴールド」
ローズ「私と結婚してください」
ジュリアン「……」
ジュリアン「はぁ?」
ローズ「はぁ?じゃなくて、返事は?」
ジュリアン「待ってよ。俺が結婚しようって提案した時は拒否したクセに、今更何なの?」
ローズ「ジュリアン。人間、半年も経てば価値観なんて変わるものだよ」
ジュリアン「変わり過ぎでしょう。誓約嫌いはどうしたの?」
ローズ「私にとって、結婚はすごく怖いことでしかなかったんだけど……」
ローズ「ジュリアンなら、ギリギリいける気がする」
ジュリアン「いける気がするって……何それ?どういう意味?」
ローズ「結婚したら相手に縛られて、自由を失うと思ってた。でも、マリーちゃんと話して気付いたの」
ローズ「ジュリアンとカイルを育て始めてから彼氏を作っていないし、作りたいとも思わない。ジュリアンと一緒にカイルを育てたい。私の望みは、それだけだって」
ローズ「ジュリアンとずっと一緒にいることが『結婚する』ってことなら、悪くないかもって思ったの」
ジュリアン「……」
ジュリアン「あぁ、そう」
ローズ「そうって……それだけ?」
ジュリアン「ローズが結婚したいっていうなら、それでも構わないけど……」
ジュリアン「俺はヴァンパイアだから、永遠を生きることになる。ローズがどんなに歳をとっても、俺は変わらないよ。それでも良いの?」
ローズ「おばあちゃんになっても若い彼氏を連れ歩きたいと思ってたから、全然大丈夫」
ジュリアン「それに、籍を入れても姓は別になる」
ローズ「え?まぁ、私は仕事の都合上、ローズ・ピンクでいたいから構わないけど……どうして?」
ジュリアン「俺は、いずれゴールドの姓を捨てて、ジュリアン・レッドを名乗るつもりだから」
ローズ「何で?」
ジュリアン「ゴールドを名乗る人物は、少ない方が良い。俺は元々ゴールド家の血なんて引いていないしね」
ローズ「レッドって……確かジュリアンのお母さんの名字だよね?」
ジュリアン「そう。本当はレッドなんて名乗りたくないけど、他に名乗れる名字がないんだ」
ジュリアン「兄さんの後継者が正式に決まったらゴールド家を出て、ゆくゆくは直接的な経営とは関係ない、財閥の顧問になる予定」
ローズ「顧問?」
ジュリアン「次期会長の後見人ってところかな」
ローズ「ふーん……」
ジュリアン「とにかく俺と結婚しても、ゴールド家の財産も地位も手に入らないと思っていて」
ローズ「財産や地位なんてどうでも良いよ」
ローズ「私はこのまま自分の仕事を続けて、ジュリアンと一緒にカイルを育てられれば十分だから」
ジュリアン「話が早くて良かった」
ローズ「じゃあ、結婚する?」
ジュリアン「……そうだね。カイルを育てる上では、やっぱり結婚した方が都合が良いかも」
ローズ「マリーちゃんの言った通りだ」
ジュリアン「何が?」
ローズ「結婚しても、何も変わらないかも」
ジュリアン「変わることもあるけど……まぁ、俺たちの生活は変わらないね」
ローズ「そうだ、結婚するならお姉ちゃんに報告しないと」
ジュリアン「え?」
ジュリアン「お姉ちゃんって……元犯罪者の姉?」
ローズ「そういう言い方はやめてって言ったでしょう?」
ローズ「ちょうど良いから、一緒にSulaniに行こうよ」
ジュリアン「は?Sulaniって……クリスが住んでいた南の島のこと?」
ローズ「そう。お姉ちゃんに会いたいし、Sulaniを見てみたいもん」
ジュリアン「待ってよ。俺、ヴァンパイアだって知ってるよね?」
ジュリアン「この家でも地下で暮らしているのに……日差しの強い南国なんて行けるわけないでしょう?殺す気?」
ローズ「日傘があれば大丈夫だよ」
ジュリアン「無理だよ。姉の方にDel Sol Valleyに来てもらったら?」
ローズ「えー……南の島でバカンスしたい」
ジュリアン「完全に遊びに行く気でしょう?俺は命をかけてまで遊びたくないから」
ローズ「ジュリアン」
ジュリアン「……何?」
ローズ「お姉ちゃんは私が妊娠したと知った時、ブチギレたの。私を妊娠させたジュリアンには、怒りを通り越して殺意を抱いてる」
ローズ「もしもこのまま断りもなく結婚なんてしたら、本気で乗り込んで来るよ」
ジュリアン「……」
ローズ「ジュリアンだけでなく、アレクシスさんにも迷惑をかけることになるかも。乗り込まれる前に、こっちから挨拶しておいた方が良いと思うけど?」
ローズ「1日だけでも良いから、お姉ちゃんに会いに行こうよ。ね?」
ジュリアン「……」
ジュリアン「カイルは置いて行くよ。子供のヴァンパイアを南の島なんかに連れて行ったら、命が危険だからね」
ローズ「マリーちゃんとジェシーさんにみてもらう」
ジュリアン「それから、姉が食ってかかってきたらローズがちゃんと説明してよ?」
ローズ「大丈夫。任せて」
ジュリアン「……本当に1日だけだからね」
ローズ「もしくは2、3日。あわよくば1週間」
ジュリアン「……」
ジュリアン「はぁ……もう、何でも良いよ。ローズに任せる」
ローズ「本当?ありがとう。ジュリアン大好き」
ジュリアン(結婚なんて提案しなければ良かった……)
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ローズの日傘に対する信頼感がすごい。
↓お姉さんがブチギレたお話は、こちら。
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