互いに想いやればこそ、譲れないこともある。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
バイオレット「よく眠れた?」
ローズ「うん。泊めてくれてありがとう」
バイオレット「ジュリアンはまだ寝てるの?」
ローズ「ヴァンパイアは夜型だから」
バイオレット「……そう」
バイオレット「後でハワードを紹介するわね」
ローズ「ハワードって、一緒に暮らしてるお医者さん?」
バイオレット「そうよ」
バイオレット「本当はルナっていう中学生の女の子もいるんだけど……」
ローズ「知ってる。クリスさんの娘さんでしょう?」
バイオレット「ちょうど今、学校見学のためにSulaniを離れているのよ」
ローズ「そっか……残念」
ローズ「そういえばお姉ちゃん。ウィルと結婚したこと、どうして教えてくれなかったの?」
バイオレット「もう何ヶ月も前の話だし、式も挙げていないから……」
ローズ「お姉ちゃんには、私がとっておきのウェディングドレスを用意するって決めてたのに」
バイオレット「そのウェディングドレスを着たくなかったのよ」
ローズ「どうして?」
バイオレット「だって……恥ずかしいじゃない。私は目立つことが嫌いなの。知ってるでしょう?」
ローズ「マリーちゃんもお姉ちゃんとウィルの結婚式、楽しみにしてたんだよ。怒られても知らないから」
バイオレット「電話で謝っておくわ」
ローズ「電話くらいじゃ許してくれないよ。仕事が落ち着いたら、Del Sol Valleyに遊びに来て」
バイオレット「そうね。カイルにも会いたいしね」
ローズ「連絡が取れない期間は不安でいっぱいだったけど、お姉ちゃんが幸せそうで良かった」
ローズ「カイルにいとこができる日もそう遠くはなさそうだね」
バイオレット「ローズ……」
バイオレット「あんたには話しておかないとね」
ローズ「何?」
バイオレット「カイルには、いとこはできないと思う」
ローズ「どういうこと?」
バイオレット「私は子供を作ることはできても、産むことはできない体質みたい」
ローズ「産むことができない?」
バイオレット「そう。だから子供は期待しないで」
ローズ「そんな……お姉ちゃんは、私なんかよりずっと良いお母さんになれるのに」
バイオレット「残念だけど、こればかりはどうしようもないわ」
ローズ「私が代わりに産めれば……」
バイオレット「良いのよ。ウィルと話し合ったの。子供がいなくても、夫婦二人で幸せになろうって」
ローズ「私が代わりに?……そうだよ」
バイオレット「ローズ?」
ローズ「そうだよ、お姉ちゃん。私が代わりに産めば良いんだよ」
バイオレット「……え?」
バイオレット「ウィルと寝るつもり?」
ローズ「違う!!」
ローズ「代理出産だよ」
バイオレット「……代理出産?」
ローズ「私のクライアントで、最近お母さんになった女優さんがいるの」
ローズ「私は週一で衣装合わせをしていたのに、全然妊娠に気付かなくて……どういうことか聞いたら『私じゃなくて、代理母が産んでくれたのよ』って」
ローズ「お姉ちゃん、子供を作ることはできるんでしょう?それなら、産める人さえいれば子供を持てるんじゃないの?」
バイオレット「それは……」
バイオレット「いいえ、良いのよローズ。簡単な話ではないわ。あんたの命を危険にさらしてまで、子供を持ちたいとは思っていない」
バイオレット「ウィルだって、夫婦二人で十分だって……」
ローズ「でもお姉ちゃん、可能性があるなら試してみないと」
バイオレット「ローズ、よく聞いて。あんたにはカイルがいるのよ。危険なことはさせられないわ」
ローズ「大丈夫。カイルだって産めたんだもん、代理母にだってなれるよ」
バイオレット「カイルの時はたまたま上手くいっただけよ。二人目も順調だとは限らない」
バイオレット「あんたにもしものことがあったら、カイルはどうなるの?」
ローズ「ジュリアンがいる。カイルのために代理母を諦めたって知ったら、それこそカイルがショックを受けるよ」
バイオレット「ダメよ。この話はお互い忘れましょう」
ローズ「お姉ちゃん」
ローズ「私はお姉ちゃんのためなら何だってする。お姉ちゃんだって、私のためなら何だってして来たでしょう?」
バイオレット「……」
ローズ「私にも少しは恩返しさせてよ」
バイオレット「ローズ……」
ローズ「まずは病院で代理母が可能か検査してもらう。それでダメなら、諦めるから」
バイオレット「……」
バイオレット「わかったわ。ダメなら諦める、約束よ?」
ローズ「うん」
ハワード「代理出産ですか?」
ハワード「バイオレットさんの言う通り、出産経験があっても代理母になれるとは限りません」
ハワード「出産が可能かどうかは、調べてみないとなんとも言えませんね」
ローズ「じゃあ、早速調べて」
ハワード「ローズさん……私の診療所では無理です」
ハワード「もっと大きな病院でなければ。バイオレットさん、私が渡した紹介状は持っていますよね?」
バイオレット「えぇ」
ローズ「今すぐ調べられないの?」
ハワード「残念ながら。しかし可能性はあるので、どうかがっかりなさらないでください」
ローズ「……わかった」
ローズ(ハワードさんって、私の周りにはいないタイプだけど……)
ローズ(どこか懐かしい気がするのは、どうしてだろう?)
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以前、一度だけ会ったことがあるからです。
↓ローズとハワードの初めての出会いは、こちら。
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