どんな計画にも、プランBは必要である。
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セシル「選択肢なんて、考えたこともなかったな」
セシル「俺は親父から一方的に後継者に指名された。ゴールド家を取り潰しても良いとは言われたが、とてもそんなことができる状況ではなかった」
ケヴィン「そうだな。でも、今は違う」
セシル「……」
ケヴィン「お前はゴールド家の当主であり、財閥の会長でもある。だが、結婚や子供は個人的な問題だ」
ケヴィン「ゴールド家も財閥も関係ない。お前が子供を望むかどうか、それだけだ」
セシル「ケヴィン……」
マリア「深刻な顔をなさって、どうしたんですか?」
ローズ「マリアさん」
ローズ「アレクシスさんとケヴィンさんが、子供を持つかどうかで話し合い中なの。とりあえず代理出産が候補に上がってるみたい」
マリア「代理出産?」
マリア「素晴らしいアイディアですね。代理出産を選択なさるなら、私が産みます」
ケヴィン「え?」
セシル「……冗談だろう?」
アリア「冗談ではありません。アレクシス様の大切なお子様を、どこの誰とも分からぬ女性にお任せすることはできませんもの。私が産みます」
セシル「ふざけるな。お前にこれ以上超高齢出産のリスクを冒させるわけにはいかない」
マリア「……私はまだ30代半ばです。超高齢出産ではありません」
セシル「だとしてもだ、エリカを産んだばかりだぞ?リックだって許すわけがない」
ローズ「あー……あと1、2年待ってもらえれば、アレクシスさんとケヴィンさんの子供も産めると思う」
セシル「オーダーメイドのスーツを注文するのとは訳が違うんだ、このバカ」
セシル「お前たちには、自分の子供がいるんだ。代理出産なんて安請け合いするんじゃない」
マリア「安請け合いではありません。もちろん、きちんと考えた上での判断です」
セシル「考えた?いつ?」
マリア「いずれアレクシス様が子供を持つなら、代理出産という形になるだろうと予想はしていました」
マリア「アレクシス様は子供を持つということ自体、悩んでおられるようなので黙っていましたが……」
マリア「いつか子供を持つという判断をなさった時には、私が産むと決めていたんです」
セシル「何を勝手なことを……」
マリア「私はゴールド家のメイド長です。旦那様のためなら、どんなことでも致します」
セシル「代理出産はメイド長の仕事の範疇を超えている」
ローズ「やっぱり私が……」
セシル「お前は黙っていろ」
ローズ「はい」
ケヴィン「……マリアの決意は立派だと思うけど、こういうことはリックやワイアットにも相談するべきじゃないかな?」
ケヴィン「そもそも、マリアが出産できるかも分からないし……セシルも子供を持つかどうか、考える時間が必要だろう?」
ケヴィン「この話は、一旦保留にしよう」
セシル「……そうだな」
ローズ「今度、代理出産について専門の病院に相談しに行くの。有益な情報を得られたら共有するね」
ケヴィン「ありがとう、ローズ」
ウィル「代理出産?」
バイオレット「そう」
ウィル「ローズが申し出たの?」
バイオレット「私は止めたんだけど、あの子がすっかりやる気になっちゃって……」
ウィル「気持ちはありがたいけど、心配だな」
バイオレット「そうよね。妹の命を危険に晒してまで子供を持ちたいとは思わないわ」
ウィル「ジュリアンはなんて?」
バイオレット「『ローズの好きにすれば?』ですって」
ウィル「他人事のような言い方だな」
バイオレット「……暑さで朦朧としていたから、正常な判断とは言えないわね」
バイオレット「とりあえず、ローズと一度専門病院に相談してみるわ。代理出産が無理だとわかれば、ローズも諦めてくれるでしょう」
ウィル「産めるとわかったら?」
バイオレット「……意地でも産むって言うでしょうね」
ウィル「覚悟を決めて、全力でサポートするしかないな」
バイオレット「こんなに幸せで、こんなに不安なことはないわ」
ウィル「複雑だね」
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マリアとローズは、誰にも止められない。
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