思い描いた未来でなくとも、違う形の幸せに出会える。
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ジェシー「それで?」
ジェシー「ようやく結婚できたってのに、ケヴィンはどうして浮かない顔をしてるんだ?」
ケヴィン「いや、結婚できたのは嬉しいんだけど……」
ジェシー「けど?」
セシル「思っていた結婚とは違ったんだと」
マリオン「どういうこと?」
セシル『よし、サインしたな』
セシル『ケヴィン、時間があるなら弁護士に会って婚姻届を出しておいてくれ』
セシル『俺は仕事に行って来る。じゃあな』
セシル『あとは頼んだぞ』
ワイアット『かしこまりました』
ケヴィン『………………』
ケヴィン「別に派手な結婚式をしたいとか、豪華な新婚旅行に行きたいなんて高望みはしていないけど……」
マリオン「究極にドライね」
ケヴィン「そう!」
ケヴィン「結婚って夢や希望に溢れてるものだろう?俺としては、もっと新鮮さが欲しかったっていうか……」
セシル「2回も結婚しておいて何を言っているんだ?」
セシル「交際を初めてからは数年でも、俺たちの付き合い自体は30年だぞ。今更、新鮮さなんて求める方がどうかしている」
マリオン「簡単な結婚式や新婚旅行くらいは、計画しても良かったんじゃない?」
セシル「世間の注目を避けるために、初めから結婚式も新婚旅行も無しだと約束していたんだ」
セシル「今になって女子高生みたいな理想を語るな」
ケヴィン「女子高生って……」
ジェシー「まぁまぁ。どんな形であれ、結婚できたんだから良かったじゃないか」
ジェシー「もうすぐ子供も生まれるんだろう?」
ケヴィン「あぁ。来年の春には生まれる予定だ」
ジェシー「そうか。子供ができてから入籍したってことは……」
ジェシー「『できちゃった結婚』だな。また」
ケヴィン「違う!先に結婚が決まっていたんだから、できちゃった結婚じゃない。今回は」
セシル「エマ曰く『できてから結婚』だもんな」
ケヴィン「……」
セシル「そういえば、お前たちも結婚したらしいな」
ケヴィン「え?」
ケヴィン「そうなのか?いつ?」
ジェシー「最近だよ」
ジェシー「今日はお前たちの結婚祝いをするために呼んだんだ。俺たちのことは良いから、好きなもの注文しろよ」
ジェシー「もっと良いワインでも開けようか?俺の奢りだ。飲めるだろう?」
セシル「……」
セシル「どうも様子がおかしいな。何を企んでいる?」
ジェシー「企むって、俺は別に……」
セシル「ジェシー」
ジェシー「あー……実は、お前たちにちょっとした頼みがあるんだ」
セシル「頼み?」
ジェシー「あぁ」
ジェシー「『推薦状』を書いてほしいんだ」
ケヴィン「推薦状?」
ジェシー「俺とマリオンは養子を希望しているんだけど、なかなか審査に通らなくて……」
セシル&ケヴィン「あぁ……」
マリオン「どうして私を見るのよ?」
マリオン「子育て経験もない上に、収入が不安定な自営業だから審査に引っ掛かっただけよ」
マリオン「良い親になれるってアピールするために急いで籍も入れてみたんだけど、養子目的の偽装結婚じゃないかって疑われてね……」
ケヴィン(俺たちの結婚よりドライだな)
ジェシー「とにかく現時点では、養護施設から見た俺たちの印象は良くない。そこで、お前たちに推薦状を書いてほしいんだ」
セシル「なるほど。面倒くせぇな」
ジェシー「あからさまに嫌そうな顔すんな。本心にしても少しはオブラートに包めよ」
ケヴィン「お前たちってことは、セシルだけじゃなくて俺もか?」
ジェシー「あぁ」
ジェシー「よくわからないけど、そこそこ有名な画家なんだろう?お前みたいな奴の推薦状でも、無いよりはマシかと思って」
ケヴィン「……お前のオブラートはどこに置いて来た?」
ケヴィン「別に構わないけど、何を書けば良いんだ?」
マリオン「何でも良いのよ。私たちの仕事や人柄について書いて頂戴。親に向いているってアピールしてもらいたいの」
マリオン「ボスは私と仕事で関わりがあるし、ジェシーとは付き合いが長いんだから書きやすいでしょう?」
セシル「そうか、わかった。ジェシーの大学時代について書いてやろう」
ジェシー「それだけはやめてください」
マリオン「ジェシーの大学時代?私は知りたい」
セシル「今度教えてやる」
ジェシー「セシル!!」
ケヴィン「いつまでに用意すれば良い?」
マリオン「期限はないけど、なるべく早くもらえると嬉しいわ」
ケヴィン「了解」
セシル「それにしても……」
セシル「まさかお前が、親になろうとする日が来るとはな」
セシル「酒飲み放題、授業サボり放題、男も女もヤりたい放題だった、あのジェシーが……」
ジェシー「頼むから大学時代のことは忘れてください」
セシル「ジェシー」
ジェシー「ん?」
セシル「幸せか?」
ジェシー「……あぁ。セシル、お前は?」
セシル「幸せだ。お前には感謝している」
ジェシー「ケヴィンだから実現できた幸せだ」
セシル「あぁ。でも……」
セシル「きっとお前と結婚しても、同じくらい幸せだった」
ジェシー「……」
ジェシー「誰だってこんなに良い男と結婚して、幸せにならないはずがない」
ジェシー「そうだろう?」
セシル「……」
セシル「そうだな」
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恋人から親友へ、終わりのない関係。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m