人を動かすには、まずは心を捕らえること。
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セシル「オーウェン・シルバーのその後?」
クリス「はい。どうなったか気になりまして……」
セシル「さぁな。San Myshunoから出たことは確認したが、その後について俺は把握していない」
クリス「会長」
クリス「Oasis Springsのイエロー家は、ご存知ですよね?」
セシル「あぁ、エマの彼氏の家か」
クリス「イエロー家の経営する会社に、最近南の島での大規模な建築依頼があったそうです」
セシル「……例のSulaniの件か?」
クリス「恐らく」
クリス「依頼者は『オーウェン』と名乗っていたそうです」
セシル「それが、あのオーウェン・シルバーだと?」
クリス「あの男は、不動産業界に深い繋がりがあります。それに……」
クリス「リゾート化の件は世間に明るみになっていないのに、もう建築業者を手配し始めている」
セシル「やり口が汚い辺り、あの男が関わっていそうではあるな」
セシル「俺に個人的な恨みがあるだろうし、あの男ならSulani政府を買収するくらいのことはやりかねない」
クリス「実際に、オーウェンと名乗った人物は、後ろにもっと大きなバッグがついていると言っていたそうです」
セシル「なるほどな」
クリス「『なるほどな』じゃありませんよ、会長」
クリス「早く手を打たなければ、手遅れになる。ウィルの報告書にも目を通したでしょう?」
クリス「Sulaniの件は、始まりに過ぎません。政府を買収してリゾート開発を行うなんて汚い方法がまかり通ってしまったら、正攻法を貫いている企業ではとても太刀打ちができない」
セシル「政府の買収なら、うちもしているぞ。あくまでグレーゾーンだがな」
クリス「会長」
セシル「はぁ……」
セシル「クリス。お前がこの件にここまで入れ込むのは、何のためだ?」
クリス「え?」
セシル「Sulaniの自然保護のためか?それとも、ゴールド財閥のためか?」
クリス「……」
クリス「両方です」
クリス「私情でこの件に固執していることは、否定しません。でも、私情を抜きにしても目を背けられない問題です」
クリス「会長。あなたはアレクサンダー・ゴールドの後継者として、十分に実力を示してきました」
クリス「恐らく世間の誰もが、あなたがここまでの力を示せるとは思っていなかったでしょう」
クリス「しかし、あくまでアレクサンダー・ゴールドの時代を引き継いで成長させただけに過ぎない」
クリス「そろそろ、ご自分の時代を築いてはいかがですか?」
セシル「……」
セシル「自然保護に舵を切れと?」
クリス「そんなことは言っていません。ただ……」
クリス「この件は、アレクシス・ゴールドの時代の幕開けとなる、大きなチャンスなのかもしれない」
クリス「俺が言いたいのは、それだけです」
セシル「………………」
リタ「ライアン」
リタ「クリスから会長との面会を拒絶されて、まだ落ち込んでいるの?」
ライアン「俺だって、何も考えていないわけじゃないのに……」
リタ「あなたを信頼していないわけじゃない。きっと、クリスにも何か考えがあるのよ」
リタ「さぁ、暗い顔はここまで。今日は愛する息子の誕生日なんだから、笑って」
ライアン「リタ……」
ライアン「そうだな」
ライアン「エイデン、誕生日おめでとう」
エイデン「ありがとう。父さん」
ライアン「この間生まれたと思ったのに、もう小学生か」
ルナ「この間生まれたのは、ラナでしょう?」
ルナ「仕事も良いけど、たまには子供との時間を作ったら?」
ルナ「まったく、ライアンは父親としての自覚が足りないんだから」
ライアン(だんだん先輩に似てきたな……)
ライアン「そういえば、クロエとエマは?」
ルナ「ディランと合流したら、すぐに来るって」
ライアン「了解」
ルナ「……」
ルナ「クリスと喧嘩したの?」
ライアン「え?」
ルナ「この間、険悪な感じだったから……」
ライアン「喧嘩したわけじゃないよ。ただ、意見の相違があっただけだ」
ルナ「意見の相違?」
ライアン「そう」
ライアン「大丈夫。Sulaniを守りたいって気持ちは一致してるから。きっと上手くいく」
ルナ「……そっか」
リタ「……」
リタ「さぁ、みんな揃う前に準備を済ませましょう」
ルナ「うん」
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ライアンの側にいると、どんな女性も強くなります。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m