許すことでしか開けない道もある。
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ジュリアン「久しぶりだね。元気だった?」
ジュリアン「叔母さん」
イヴ「………………」
イヴ「その呼び方はやめて」
ジュリアン「どうして?」
ジュリアン「間違いではないでしょう?」
イヴ「……」
イヴ「ジュリアン様、本日はどのような御用件でいらしたのですか?」
ジュリアン「聞きたいことがあるんだ」
イヴ「聞きたいこと?」
ジュリアン「ヴァンパイアが人間になる方法があるって聞いたんだけど」
ジュリアン「知らない?」
イヴ「……」
イヴ「あなた人間になりたいの?」
ジュリアン「俺じゃないよ」
ジュリアン「カイルが人間になりたいと望んだ時に、手段を用意しておきたいんだ」
イヴ「……そう」
イヴ「残念だけど、私はそんな方法知らない。知っていたら、私が試してる」
ジュリアン「人間になりたいの?」
イヴ「……」
イヴ「私は知らないけど、レッド家にはその方法が伝わっているかもしれない」
ジュリアン「それって、つまり……」
イヴ「姉さんなら、あるいは」
ジュリアン「……なるほどね」
イヴ「姉さんは人格に問題があるけれど、ヴァンパイアとしての力は本物よ。レッド家の歴史にも詳しい」
イヴ「人間になる方法を知っている者がいるとすれば、姉さん以外には考えられない」
ジュリアン「だろうね」
イヴ「……」
イヴ「姉さんを許してあげたら?」
ジュリアン「……どういう意味?」
イヴ「いくらヴァンパイアとはいえ、このまま棺に閉じ込めておけばいずれは息絶える」
イヴ「許すなら、今しかない」
ジュリアン「………………」
ジュリアン「あんたはどうなの?」
イヴ「え?」
ジュリアン「あの女の仕打ちを許したとでも?」
イヴ「………………」
イヴ「許したわ」
ジュリアン「へぇ……」
ジュリアン「彼氏ができてそれなりに幸せを手にしたら、過去のことなんて忘れちゃった?」
イヴ「姉さんのためじゃない。あなたのためを想っての提案よ」
ジュリアン「は?」
イヴ「許すということは、相手のためじゃない。自分のためにすることよ」
イヴ「憎んだり恨んだりしても、過去の苦しみからは逃れられない」
イヴ「相手を許すことで、リセットするの」
ジュリアン「リセット?」
イヴ「そう。過去をリセットして、未来のことを考えるの」
イヴ「あなたにとっては、息子のことね」
ジュリアン「……」
イヴ「姉さんを頼ってみたら?あんな人でも、カイルの役に立つかもしれない」
ジュリアン「それはどうかな」
イヴ「ジュリアン」
ジュリアン「………………」
ジュリアン「しばらく会わない間に変わったね」
イヴ「……」
ジュリアン「わかったよ」
ジュリアン「気は向かないけど、レッド家に行ってみる」
イヴ「……えぇ」
イヴ「あなたも変わったわ」
ジュリアン「そうかもね」
ジュリアン「叔母さん」
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叔母と甥の不思議な関係。
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