新たな挑戦には、大きな痛みが伴う。
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セシル「久しぶりだ」
セシル「このラウンジには、家を出る前に親父とよく来た」
セシル「経営者として、当主として。人の上に立つ者に必要な心構えは、ここで教わった」
セシル「もっと真面目に話を聞いておくべきだったな……」
キース「このラウンジは、私にとっても思い出深い場所です」
キース「アレクサンダー・ゴールドに出会い、そしてレイチェルを紹介した場所でもある」
キース「お久しぶりです。アレクシス様」
セシル「久しぶりだな、小悪党ども。どのツラ下げて俺に会いに来た」
キース「これは手厳しい。お父様によく似ていらっしゃる」
セシル「悪党同士で手を組んで、裏で好き勝手しているようだな」
セシル「Sulaniの件が上手くいかなかったようで、残念だ」
キース「上手くいかなかった?いいえ、大成功ですよ」
キース「あなたとこうして、話し合いの機会を持てたのですから」
セシル「どういう意味だ?」
クリス「……」
キース「Sulaniのリゾート化は、あなたにお見せするための一つのモデルケースです」
クリス「モデルケース……?」
キース「リゾート化自体には、大した意味はない」
キース「我々のやり方を、あなたに見て頂きたかっただけなのですから」
セシル「やり方だと?」
キース「あなたはご存知のはずだ。アレクサンダーが、なぜここまでゴールド家を発展させることができたのか」
キース「地位や名声、莫大な資産は、綺麗事だけでは手に入らない」
セシル「親父が裏で悪どい事をしていたと言いたいのか?」
キース「いいえ、反対です」
キース「悪になりきれなかったが故に、多くのチャンスを逃してきた」
セシル「……え?」
キース「アレクサンダーは、時には汚い手も使った。しかし、裏の世界とは決して手を組もうとはしなかった」
キース「もしも裏の世界も制することができれば、表の世界だけでなく、この世の全てを手に入れられたというのに」
セシル「……」
キース「アレクシス様。あなたには、そのチャンスがある」
キース「Sulaniの件を見たでしょう?我々と手を組めば、表の世界では手に入らないものも、手に入る」
セシル「正攻法ではできないことを、お前たちが代行してくれると?」
キース「その通りです」
キース「自然保護区であるSulaniをリゾート化するなんて、表の世界では絶対に実現できない。しかし……」
キース「裏の世界の方法を使えば、それが実現できる。現に、Sulaniを自然保護区から外すところまで追い詰めることができた」
キース「あなたが我々と手を組めば、今まで手が出せなかった土地の開発も実現する。それを示すための一例が、Sulaniのリゾート化計画です」
クリス「そんなことのために、Sulaniを……」
セシル「お前も懲りない男だな」
セシル「親父に取り入ることができなかったら、今度は息子に取り入ろうというのか?」
キース「あなたには、我々が必要なはずだ」
セシル「……何?」
キース「アレクサンダーの跡を継いで5年。周囲の期待以上の功績を残して来たが、アレクサンダーを超えたとは言えない」
キース「『アレクシス・ゴールドの時代』を築くには、我々の力が必要だ」
キース「違いますか?」
セシル「……」
セシル「俺も舐められたものだな。お前のような小悪党に足元を見られるとは……」
セシル「断ると言ったら?」
キース「……」
キース「今回のリゾート化の件をはじめ、我々の組織はゴールド家と手を組むために、莫大な投資をしてきた」
キース「それだけに、裏世界からの期待も大きい。ゴールド家と手を組むことができないとわかれば、私もただでは済まない」
キース「手荒な真似はしたくないが、強引な方法を取らせてもらう」
セシル「何だ?」
キース「アレクサンダーが生前に行った悪事の全てを、世間に公表する」
セシル「……」
キース「他企業への不当な圧力や土地の強引な買収、裏金による政治への介入……例を挙げたらキリがない」
キース「私はゴールド家に恨みを持つ多くの協力者から、その証拠を預かっている」
キース「全てが公になれば、例え父親が行ったことであろうと、その跡を継いだお前もただでは済まないだろう」
セシル「……ようやく化けの皮が剥がれたな」
セシル「親父の悪事を世間に公表するだと?好きにしろ」
セシル「俺は一向に構わない」
キース「アレクシス」
キース「事の重大さがわかっていないようだな。これはお前だけの問題ではない」
キース「財閥やゴールド家に関わる、その全ての人間が……」
セシル「あぁ、そうだ。一つお前に教えておいてやろう」
セシル「クリス」
クリス「はい」
クリス「どうぞ」
キース「……これは?」
セシル「明日の会見用の原稿だ」
キース「会見……?」
セシル「明日、俺はアレクサンダー・ゴールドの負の功績を世間に公表する」
セシル「俺自身がメディアの前に立ち、その全てを説明するつもりだ」
キース「まさか……」
オーウェン「冗談だろう?」
キース「アレクシス、お前……」
キース「破滅するつもりか?」
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発想のぶっ飛び具合なら、アレクサンダーよりセシルの方が上。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m