善行は、巡り巡って必ず返って来る。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
ジェシー「条件って?」
セシル「お前には、俺の過去を色々と知られている。仕事のことも、プライベートのことも」
セシル「その一切を口外しないと約束してくれるなら、この店の権利書を譲っても良い」
ジェシー「『口止め料』……ってことか?」
セシル「そうだ」
セシル「別にやましいことは何一つないが、今の立場上、過去のことが世間に知られれば面倒だ」
ジェシー「……」
ジェシー「お前とのことを誰かに話したことはないし、今後も話すつもりはないけど……」
ジェシー「口止め料に1000万シムオリオンも払うつもりか?」
セシル「生きている人間の口を1000万シムオリオン程度で封じられるなら、安いものだ」
ジェシー(生きている人間……?)
ジェシー「わかった、約束する。俺も面倒事は御免だからな」
セシル「交渉成立だな。これで貸し借りなしだ」
ジェシー「元々、貸しも借りもないだろう?」
セシル「権利書が手に入ったらお前に渡す。後は好きにしろ」
ジェシー「好きにって……」
セシル「お前がオーナーになっても良いし、人に譲っても良い。言葉通りだ、好きにしろ」
ジェシー「……」
ジェシー(そういうことか……)
ジェシー「セシル!」
セシル「……何だ?」
ジェシー「ありがとう」
セシル「俺は取引きをしに来ただけだ。礼なんて言われる筋合いはない」
ジェシー「そうかよ」
ジェシー「俺も、ただ礼が言いたかっただけだ」
セシル「……」
ジェシー「あいつ元気か?」
セシル「あいつ……?」
ジェシー「画家の先生だよ。他に誰がいるんだ」
セシル「あぁ……」
ジェシー「今度飲みに来いよ。あいつも一緒に」
セシル「……」
セシル「気が向いたらな」
セシル「何してんだ、行くぞ。ローズ」
ローズ「あ、そっか。カイル置いてきたんだった」
セシル「お前なぁ……」
ローズ「マリーちゃん、ジェシーさん。またね!」
マリオン「落ち着いたら帰って来なさいよ」
ローズ「はーい」
マリオン「良かったじゃない。元彼と仲直りできて」
ジェシー「まぁな」
ジェシー「それより、どうしようかな」
マリオン「ん?」
ジェシー「無給で働いていた経営者見習いが、今やSan Myshunoで一番の人気ラウンジのオーナーだ」
マリオン「大出世ね」
ジェシー「……冗談だよ」
ジェシー「この店の権利書は、マスターにやる」
マリオン「……あんた、この店の価値がわかっているの?」
ジェシー「よくわかってるよ。マスターが、一生懸命作り上げた店だ」
ジェシー「俺にはオーナーになる資格なんてない。この店は、今までもこれからもマスターの物だよ」
マリオン「……」
マリオン「私は、オーウェンから解放されただけで十分よ」
マリオン「私がこの店を買取れるくらい稼ぐまで、あんたがオーナーでいて頂戴」
ジェシー「……」
ジェシー「じゃあさ、こうしようぜ」
マリオン「え?」
ジェシー「この店の権利書はマスターに譲るから、俺を共同経営者にしてくれよ」
マリオン「……嫌よ。共同経営はしないって言ったでしょう?」
ジェシー「いいじゃん。俺は音楽で稼いだ金があるから、取り分で揉めたりしない。経営者としては初心者なんだから、基本方針はマスターに従う」
マリオン「でも……」
ジェシー「やってみてダメなら、俺が引き下がる。この条件なら良いだろう?」
ジェシー「長い付き合いなんだ。俺たちなら、ビジネスパートナーとしても絶対に上手くやれる」
マリオン「……」
マリオン「仕方ないわね……」
マリオン「わかったわよ。あんたにオーナー面されるのも嫌だから、共同経営者ってことで良いわ」
ジェシー「よろしく。ビジネスパートナーさん」
マリオン「はいはい、よろしくね」
ジェシー「なぁ、『マリオン』って呼んで良い?」
マリオン「……新米経営者のクセに、あんまり調子に乗るんじゃないわよ」
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ジェシーは、セシルと別れて以来自宅に帰っていないので、冷蔵庫の中身が心配です……。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m