悪いところよりも良いところを見た方が、幸せになれる。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
マリア「はぁ……」
ワイアット「……」
ワイアット「マリア。気付いているとは思うが、ここは私の部屋だ」
ワイアット「そろそろ休みたいのだが……」
マリア「……はぁ」
ワイアット「……」
ワイアット「何か悩みでもあるのか?」
マリア「ワイアット、聞いてくれるの?」
ワイアット(聞かざるを得ない……)
ワイアット「何だ?」
マリア「最近、リックにどう接すれば良いのかわからなくて……」
ワイアット「まだ怒っているのか?」
マリア「怒っているというより、あの人のことが理解できなくて辛いの」
ワイアット「そうか……」
ワイアット「別に、理解する必要はないんじゃないか?」
マリア「え?」
ワイアット「私たちは、元々生まれも育ちも違うし、仕事の内容も違う」
ワイアット「マリアにはマリアの正義があるように、リックにはリックの正義がある。それぞれが自分の価値観を持っているんだ」
ワイアット「互いに全てを理解するなんて、無理だろう」
マリア「……」
マリア「それじゃあ、どうすれば良いの?」
ワイアット「理解できないところに目を向けるのではなく、理解できるところに目を向けたらどうだ?」
マリア「理解できるところ……?」
ワイアット「リックに対して、尊敬できるところもあるだろう?」
マリア「まぁ……」
マリア「仕事に対するプロ意識や、アレクシス様への忠誠心は尊敬しているけど……」
ワイアット「だったら、それで十分だろう」
マリア「でも……」
ワイアット「本当は、言うつもりはなかったんだが……」
マリア「何?」
ワイアット「リックは、レイチェル様と関係を持つ前に、アレクサンダー様に了承を得ていた」
マリア「……え?」
マリア「アレクサンダー様に相談したの!?」
ワイアット「そうだ」
マリア「……」
ワイアット「リックは、義理を通す男だ。勝手に動いているように見えても、裏ではちゃんと考えている」
マリア「知らなかった……」
ワイアット「マリア……」
ワイアット「自分の目で見る景色なんて、この世界のほんの一部でしかない。それに、自分が見ている相手の姿が、全てだとも限らない」
ワイアット「リックのことが好きだろう?」
マリア「……」
ワイアット「悪い部分を見て疑うのではなく、良い部分を見て信じたらどうだ?」
マリア「……あなたの言う通りね」
マリア「私、自分の価値観に固執し過ぎていたかもしれない」
ワイアット「君たちが仲良くしていてくれなければ、私まで調子が狂う」
ワイアット「特に最近はゴールド家の代替わりがあった上に、ジュリアン様の問題まで浮上した。私たちが団結しなければ」
マリア「そうね……」
マリア「ワイアットって、相談に乗るのが上手なのね」
ワイアット「多くの部下を抱えているからな。相談を受けることもある」
マリア「ありがとう。少しスッキリした」
マリア「リックには、最近の態度を謝らないとね」
ワイアット「戻るのか?」
マリア「えぇ……休むんでしょう?」
ワイアット「君の相談に乗ったのだから、私の相談にも乗ってくれ」
マリア「相談……?」
マリア「珍しいわね。どうしたの?」
ワイアット「実は、イヴのことなのだが……」
マリア「イヴが何か?」
ワイアット「最近、どこにいても何をしていても、イヴの視線を感じるんだ」
ワイアット「どうして私を監視しているのか、イヴに聞いて欲しい」
マリア「……え?」
マリア「監視されていると思ったの?」
ワイアット「違うのか?」
マリア「ワイアット。あなた難しいことはわかるのに、簡単なことはわからないのね」
ワイアット「……」
マリア「イヴは、あなたのことが好きなのよ」
ワイアット「……え?」
マリア「イヴがワイアットのことを見ているのは、知っていたわ。でもそれは、あなたに好意を抱いているからよ」
ワイアット「まさか……」
マリア「間違いないわ。先日、私とワイアットは付き合っているのか問い詰められたもの。もちろん、ちゃんと否定しておいたけど」
マリア「あなた、メイドに結構モテるのよ。もういい歳なんだし、そろそろ彼女の一人も作ったら?」
ワイアット「マリア……」
マリア「とにかく、イヴのことは問題ない。業務に支障はないし、恋をするのは自由だもの」
マリア「『監視』なんてされていないから、安心して休んで」
ワイアット「……」
マリア「相談に乗ってくれてありがとう。おやすみなさい、ワイアット」
ワイアット「おやすみ……マリア」
パタン
ワイアット「……」
ワイアット「監視されるよりも厄介だな……」
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リフレーミング:枠組み(フレーム)を変えることで、物事の捉え方を変える方法。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m