信頼関係を築く一番簡単な方法は、会話である。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
ローズ「ケヴィンさん、カイルの面倒を見てくれてありがとう」
ケヴィン「俺も久しぶりに子供の世話ができて、楽しかったよ」
ローズ「ケヴィンさんって、絵が上手いんだね。なんだか意外」
ケヴィン「意外って……これでも一応、画家なんだけど」
ローズ「え!?そうなの?」
ケヴィン「あぁ。San Myshunoで個展を開いたこともあるし、美術館には俺の絵も飾ってあるよ」
ローズ「そうなんだ!今度San Myshunoに帰った時に行ってみようかな」
ケヴィン「……そういえば、ローズはセシルと一緒にSan Myshunoで何をしてきたんだ?」
ローズ「マリーちゃんのお店を買取りに行ったの」
ケヴィン「マリーちゃん?」
ローズ「うん。結局ジェシーさんのものになっちゃったけど……とりあえず一件落着」
ケヴィン「……」
ケヴィン「なぁ、そのジェシーさんって……まさかジェシー・カーキじゃないよな?」
ローズ「え?」
ローズ「そうだけど」
ケヴィン「……」
ケヴィン「セシル!」
セシル「……なんだよ、騒がしいな」
セシル「こっちは寝起きで機嫌が悪いんだ。朝っぱらから大声を出すな」
ケヴィン「朝っぱらどころか、もう昼過ぎ……って、そうじゃない」
ケヴィン「お前、ジェシー・カーキに会ったのか?」
セシル「……あぁ」
ケヴィン「あぁ、って……なんで俺に言わないんだよ?」
セシル「これから言おうと思っていた」
ケヴィン「これからじゃなくて、事前に言うべきだろう?どうしてあいつに会ったんだよ!?」
セシル「……」
セシル「ジェシーが面倒ごとに関わっているようだから、助けたかった。借りを返すために、あいつに会う必要があったんだ」
ケヴィン「セシル……」
ケヴィン「ジェシーは良い奴だ。それは俺も知っている。お前のことだって、別に疑っているわけじゃない。ただ……」
ケヴィン「なにも話さないっていうのは、ナシだろう?」
セシル「……」
セシル「そうだな。俺が悪かった」
セシル「今回の件は、時間がなかったというのもあるが……それは言い訳でしかない。お前には、事前に伝えておくべきだった」
ケヴィン「……寝起きなのに、やけに素直だな」
セシル「ジェシーと会って気付いたんだ。大切な人には、なんでも話すべきだって」
ケヴィン「……」
セシル「ジェシーは、ローズとは家族ぐるみの付き合いをしていたらしい。でも、俺はローズの存在すら知らなかった」
セシル「でも、あいつを責めることはできない。俺もゴールド家の血筋だってことを黙っていたからな」
セシル「俺達は十年以上一緒にいたにも関わらず、結局一番大事なことを話さずに過ごしていたんだ」
セシル「これでどうして関係なんて続けられる?」
ケヴィン「……」
セシル「お前とは、ちゃんとした関係を築きたい。良いことも悪いことも全てを共有できる、心から信頼できる関係を」
ケヴィン「セシル……」
セシル「お前には全て話すつもりだった。でも、なぜか後ろめたくて……順番を間違えてしまった」
セシル「だから、悪かった」
ケヴィン「……」
ケヴィン「わかった。話してくれてありがとう」
セシル「お前も俺に話していないことがあったら、今のうちに言っておけよ」
ケヴィン「俺は……あぁ、一つあったな」
セシル「なんだよ?浮気か、隠し子か?」
ケヴィン「いや、そんな大事じゃないんだけど……」
ケヴィン「お前さ、この家に地下倉庫があるの知ってるか?」
セシル「地下倉庫?そんなものあったか?」
ケヴィン「あぁ。テディが迷い込んで気付いたんだけど……3部屋くらいある、広い地下倉庫を見つけたんだ」
ケヴィン「ワイアットに聞いたら使う予定はないっていうから、アトリエに改装した」
セシル「アトリエ?」
セシル「倉庫なんか使わなくても、庭に離れでも作れば良かったんじゃないか?」
ケヴィン「倉庫は元々ワインセラーだったみたいで、気温も湿度も一定なんだ。絵の保管にちょうど良いんだよ」
セシル「なるほどな」
セシル「ここはお前の家でもあるんだから、好きにして良いんだぞ」
ケヴィン「だとしても、やっぱり事前に言っておくべきだったと思って……」
セシル「……そうだな。話してくれてありがとう」
セシル「これで、お互い隠し事はナシだな」
ケヴィン「あぁ」
セシル「よし。お陰で安心して二度寝ができる」
ケヴィン「え?」
セシル「クリスには、上手く言っておいてくれ」
ケヴィン「お前なぁ……」
ジュリアン「ゴールド家はヴァンパイアにとって、よほど居心地が良いらしいね」
ジュリアン「呼んでもいないのに、次から次に集まって来る」
イヴ「……」
ジュリアン「なにが目的?どうしてここで働いているの?」
イヴ「……私はただ、仕事が欲しかっただけです。ヴァンパイアにも生活がありますから」
ジュリアン「そう。だったら、他所の家に行ってくれる?」
ジュリアン「ゴールド家にヴァンパイアは、これ以上いらない」
イヴ「……ジュリアン様」
ジュリアン「なに?」
イヴ「本当にお母様そっくりですね」
ジュリアン「……それ、どういう意味?」
ジュリアン「あの女を知っているの?」
イヴ「さぁ……」
イヴ「どうでしょう?」
ジュリアン「………………」
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ジェシーが隠れ家を必要とした理由は、後々判明します。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m