惹かれることに、理由などいらない。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
ビクトリア「クリス」
クリス「ビクトリアさん」
ビクトリア「会社で会うなんて、珍しわね」
クリス「企業買収の件で、どうしてもここに来る必要があって……」
ビクトリア「聞いたわ。不動産会社を3つも買収するなんて、さすがね」
クリス「俺は何も……全て、会長の指示に従っただけですから」
ビクトリア「アレクシス会長と一緒に働くと、勉強になるでしょう」
クリス「……そうですね」
クリス「口は悪いしサボり癖はあるけど、仕事の手腕は見事です」
クリス「決断力に理解力もあるし、何より適応力に優れている。俺にないものをたくさん持っています」
ビクトリア「そうね。でも、忍耐力や持久力、繊細な事務処理能力はあなたの方が上よ。良いコンビだわ」
クリス「……」
クリス「どうして会長は、俺を秘書にしたんですか?」
ビクトリア「あなたのことが気に入ったのよ」
クリス「気に入った?」
ビクトリア「確かな理由は、ご本人にお聞きしなければわからないけど……」
ビクトリア「会長は、好き嫌いがハッキリしているタイプよ。よほど気に入った相手でなければ、側に置こうなんて思わないはずだわ」
ビクトリア「秘書に選んだということは、あなたが会長を惹きつける何かを持っていたということよ」
クリス「……」
ビクトリア「もっと自信を持って良いところだけど……辛かったら辞めても良いのよ?」
クリス「いえ、辛いというわけではないんです。ただ、会長との付き合い方がよくわからなくて……」
ビクトリア「知り合ってまだ数週間だもの。上手く付き合えなくて当然よ。これから一緒に過ごす時間が増えれば、自然と打ち解けられるわ」
ビクトリア「会長は仕事の面でも優秀だけど、それだけじゃない。情だってある。きっとあなたとは、気が合うはずよ」
クリス「そうだと良いんですけど……」
ビクトリア「今度会社に来るときは、事前に連絡して。一緒に食事でもしましょう」
クリス「はい、ありがとうございます」
クリス(自信を持って良い……か)
クリス(秘書になるつもりもなかったし、ゴールド家に入って戸惑うことばかりだったけど……)
クリス(もう少し、あの人を見ていたい気もするな……)
ローズ「あれ?」
ローズ「アレクシスさん、今日はお休みじゃなかったの?」
セシル「午後からな。午前中は仕事だったんだ」
ローズ「半日だけ?お休みはちゃんと取らないと」
セシル「それができたら苦労しない」
セシル「……俺に何か用か?」
ローズ「さっき、電話があったの。ジェシーさんが、マリーちゃんにお店の権利書を譲ったみたい」
セシル「そうか」
ローズ「アレクシスさん、ありがとう。マリーちゃんのためではなかったかもしれないけど、結果的にはみんな幸せになれた」
セシル「俺は自分の都合で動いただけだ」
ローズ「だとしても、ありがとう」
セシル「……どういたしまして」
セシル「ローズ」
ローズ「何?」
セシル「どうして妊娠した時点で知らせなかった?」
ローズ「え?」
セシル「ジュリアンが、ゴールド家の者だということは分かっていたんだろう?すぐに知らせることができたはずだ」
ローズ「……」
ローズ「怖かったから」
セシル「怖かった?」
ローズ「結婚もしていない見ず知らずの女が身篭った子供なんて、ゴールド家が認めてくれるわけがない」
ローズ「子供を取り上げられるどころか、産むことも許されないと思ったの」
セシル「……」
ローズ「本当は、このままゴールド家とは関わらずに育てるつもりだった。でも、カイルの体調が悪くなって……」
セシル「全ては、子供を守るため……というわけか」
ローズ「うん」
セシル「明日、ジュリアンとの話し合いの場を設けようと思う」
ローズ「えー……私、あの人嫌い」
セシル「まだ嫌うほど話もしていないだろう。互いのためだ、我慢しろ」
ローズ「……わかった」
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誰よりもゴールド家に馴染んでいるローズ。
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