子供には、幸せになる権利がある。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
セシル「ケヴィン、どうしてお前がここにいるんだ?」
ケヴィン「俺はローズに呼ばれたんだけど……」
ローズ「ジュリアンは、アレクシスさんっていう保護者付きでしょう?公平を期すために、私も保護者を呼んだの」
セシル「いつからケヴィンが、お前の保護者になったんだ?」
ローズ「本当はマリーちゃんに来て欲しかったんだけど、仕事があるって言われちゃって……」
ローズ「それでジェシーさんに相談したら『デキ婚のプロがいるからそいつに頼め』って言われたの」
ケヴィン(あいつ……!!)
セシル「……まぁ良い。とにかく話し合いを始めるぞ」
セシル「ジュリアン、ローズ。子供が生まれたことは予想外の出来事だったとは思うが、『責任』は取らなければならない」
セシル「ローズはこれまで子育てをしてきて、十分に責任を果たしている。ジュリアン、このことについてどう思う?」
ジュリアン「どうって?」
セシル「お前は今後、どう責任を取るつもりだ?」
ジュリアン「……」
ジュリアン「ローズ……だっけ?どうして欲しいの?」
ローズ「私は……」
ローズ「カイルの体調を良くする方法は見つかったし、ゴールド家も裁判沙汰にするつもりはないようだから、それで満足。ジュリアンともゴールド家とも、これ以上関わりたくないです」
ジュリアン「あぁ、そう。じゃあ、ローズは子供と二人で生きていく。俺は今まで通り自由を取り戻す。これで解決だね」
セシル「ふざけるな。それだと、お前の責任が果たされていないだろう?」
ジュリアン「ローズの希望通りにしようっていうのに、何が不満なの?」
セシル「ジュリアン、お前も何らかの形で子育てをサポートするべきだ」
ローズ「待って、アレクシスさん。私は、この人のサポートなんて受けたくない」
ジュリアン「俺だって、これ以上縛られるのはうんざり。ヴァンパイアの育て方は教えたんだから、もう十分でしょう?」
セシル「お前達……」
ケヴィン「ちょっと待ってくれ」
セシル「ケヴィン?」
ケヴィン「俺は、『カイルのための話し合い』だと思って参加していたんだけど」
ケヴィン「私はこうしたいとか俺はこうしたいとか、自分の希望ばかり……少しはカイルの幸せについて考えたらどうだ?」
ローズ「カイルの幸せ……?」
ジュリアン「……」
セシル「お前の意見を聞こう」
ケヴィン「カイルのためを考えるなら、ジュリアンもローズも一緒に子育てに参加するべきだ」
ローズ「ケヴィンさん、カイルの子育てなら私一人で十分。今までだってそうして来たもん」
ケヴィン「今まではな」
ケヴィン「もしも今後ローズに何かあったら、誰がカイルを守るんだ?」
ローズ「マリーちゃんやジェシーさんが……」
ケヴィン「その二人に、子供を引き取る余裕があるのか?」
ローズ「……え?」
ケヴィン「俺の妻は、ある日突然死んだ」
ケヴィン「前日まで元気に過ごしていたし、亡くなる直前まで笑って話していたよ。それでも突然倒れて、還らぬ人になった」
ケヴィン「今この場にいる誰一人として、明日も元気に笑って過ごせるなんて保証は、どこにもないんだ」
ケヴィン「俺の娘達には、母親がいない。でもカイルには、父親も母親もいる」
ケヴィン「お前達に無理やり結婚しろなんて言っていない。ただ、幸せな家庭を築くチャンスはある」
ケヴィン「チャンスがあるのに、それを活かさずに捨ててしまうのはもったいないだろう?」
ジュリアン「どうしろっていうの?」
ケヴィン「ジュリアンとローズはお互いのことをよく知らないし、ジュリアンは子育ての楽しさを知らない。だから……」
ケヴィン「まずは同じ家で、一緒にカイルの世話をしてみたらどうだ?」
ケヴィン「上手くいかないかもしれないけど、何も試さないよりマシだ。少なくともカイルには、パパとママがいる家庭を教えてあげられる」
ローズ「パパとママがいる家庭……?」
セシル「ローズはどう思う?」
ローズ「私は……」
ローズ「ケヴィンさんの意見に賛成」
ローズ「私は養護施設で育ったの。パパとママがいる家庭なんて知らない」
ジュリアン「……」
ローズ「ジュリアンと生活することには抵抗があるけど、カイルに同じ思いをさせるのも嫌。だから……」
ローズ「チャンスがあるなら、試してみたいかも」
セシル「そうか」
セシル「ジュリアンはどう思う?」
ジュリアン「どうせ俺に、選択肢なんてないんでしょう?」
セシル「よくわかっているな。お前には、カイルの世話と養育費の支払いを命じる」
セシル「真剣にローズと向き合う姿勢が見えたら、外出禁止令は解いてやろう」
ジュリアン「……」
セシル「お前達は、しばらくこの家で生活しろ」
ローズ「え?San Myshunoに帰れないの?」
セシル「帰っても良いが、いきなりジュリアンと生活するのも不安だろう?この家なら子育てをサポートしてくれる人間がたくさんいるから、仕事にも安心して出られる」
ローズ「確かに……」
セシル「それからジュリアン。お前は養育費の支払い以前に、仕事にも就いていないらしいな」
セシル「この家で父親として、社会人として、一から鍛え直してやる」
ジュリアン「……本気?」
セシル「お前の今後については、家の者と決める。今はカイルの世話に集中するんだ」
ジュリアン「……わかった」
ケヴィン「……俺、余計なこと言ったか?」
セシル「いや、お前がいてくれて良かった。さすが『デキ婚のプロ』だな」
ケヴィン「……」
ケヴィン「ジュリアンとローズが、このまま結婚してくれれば良いと思っているんだけど……あの二人、上手くいくかな?」
セシル「今のところ絶望的だ」
セシル「カイルに悪い影響を与えるくらい険悪な仲になったら、また話し合いが必要だろうな」
ケヴィン「そうならないことを祈ってる」
ケヴィン「いくらお姉ちゃんや御近所さんのサポートがあるとはいえ、これ以上ローズに負担を背負って欲しくないからな。ジュリアンが心を入れ替えてくれると良いんだけど……」
セシル「お姉ちゃん……?」
ケヴィン「あぁ、ローズのお姉ちゃん」
セシル「ローズに姉なんていないだろう?話し合いにも出てこなかったし……リックにも調べさせたんだから、間違いない」
ケヴィン「え?でも……」
ケヴィン「ローズは『お姉ちゃんに子育てをサポートしてもらった』って言っていたぞ?」
セシル「……」
セシル「どういうことだ?」
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新たな問題が浮上。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m