目を瞑ることで、得られる幸せもある。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
ウィル「クリスからプレゼントが届いたよ」
ウィル「ルナの誕生日に渡してほしい……だって」
バイオレット「明日まで隠しておかないと」
ウィル「そうだね」
バイオレット「それにしても……」
バイオレット「用心深いあなたが、よく信用したわね」
ウィル「何の話?」
バイオレット「クリスのことよ」
ウィル「あぁ……」
ウィル「実はクリスに会う少し前に、本部から聞いていたんだ。ゴールド家がローズのことを調べているって」
バイオレット「え?」
ウィル「確かではなかったから、バイオレットには言わなかったんだけど……おそらくカイルの父親の件だろうと思ってね」
ウィル「『国を動かす影響力を持つ』って言葉を聞いて、クリスがゴールド家の関係者だと確信したんだ」
ウィル「昔からゴールド家は警察と繋がりの深い一族だから、危険性はないと判断したんだよ」
バイオレット「……そうだったの」
ウィル「IDを作り直して随分経つ。そろそろ、ローズに連絡してみる?」
バイオレット「……やめておくわ」
ウィル「どうして?」
バイオレット「本当は、今すぐにでも連絡したいところだけど……まだ闘いは終わっていない」
バイオレット「ローズとカイルの安全のためにも、組織が完全に崩壊するまでは我慢するわ」
ウィル「……そうか」
ウィル「賢明な判断だ」
ウィル「寝室にプレゼントを隠してくるよ」
バイオレット「えぇ、お願い」
ハワード「あ、バイオレットさん」
バイオレット「ハワード」
ハワード「ちょっとよろしいですか?」
バイオレット「……えぇ」
ハワード「呼び止めてしまって、すみません」
ハワード「明日のルナちゃんの誕生日の件です」
バイオレット「え?」
ハワード「私はプレゼントを用意するので、バイオレットさんは料理を用意していただけますか?」
バイオレット「もちろん、喜んで協力するけど……あなたの話って、ルナの誕生日のこと?」
ハワード「えぇ。他に何か?」
バイオレット「いえ……別に」
ハワード「明日は、ルナちゃんのお母さんも来てくれる予定です」
ハワード「ルナちゃんには内緒にしておいてくださいね。サプライズですから」
バイオレット「わかったわ」
バイオレット「……」
バイオレット「ねぇ、どうして何も聞こうとしないの?」
ハワード「?聞きたいことなんて、何もありませんよ」
バイオレット「あるでしょう?」
バイオレット「私が何者なのか、クリスがなぜ私に会いに来たのか、過去の仕事って何なのか……」
バイオレット「自分でも怪しい女だと思っているのに、なぜあなたは何も聞こうとしないの?私は……」
ハワード「バイオレットさん」
ハワード「確かに、私はあなたのことをよく知りません。しかし、ウィリアムやクリスさんのことはよく知っています」
ハワード「私は二人を信頼しているんです。心から」
バイオレット「……」
ハワード「話したくないことを話す必要なんてありません。私も、あえて聞き出したいとも思っていません」
ハワード「ウィリアムとクリスさんが笑顔で話しているなら、あなたは『良い人』だということです」
ハワード「私には、それで十分です」
バイオレット「……」
バイオレット「良い人なのは、あなたの方よ」
ハワード「では、この家には良い人しかいないということですね。素晴らしいことです」
バイオレット「でも……」
ハワード「医学の世界では、過去の治療方法は重視されません」
バイオレット「……え?」
ハワード「現代では体に害を及ぼすと知られている水銀も、万病を治す薬だと信じられている時代があった」
ハワード「当時は画期的な最新医療でしたが、研究が進んだ現代では通用しません。私たち医者には、常に新しい情報を上書きする柔軟さが求められるんです」
ハワード「あなたがどんな過去を持っていたとしても、興味はありません。私に必要なのは、現在のあなたの情報です」
ハワード「料理が得意で、ルナちゃんを可愛がってくれる大切な家族の一員。それが現在のあなたであり、あなたの全てです」
バイオレット「ハワード……」
ハワード「さぁ、余計な話をしている時間はありませんよ。明日のために、準備をしなくては」
バイオレット「……そうね」
バイオレット「……」
バイオレット「ありがとう」
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久しぶりにまともに登場してくれた、ハワード。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m