どんな想いも、向き合わなければ伝わらない。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
ローズ「カイル、誕生日おめでとう」
ローズ「……って、どうして皆いないの!?」
ジュリアン「概ね仕事だって」
ローズ「概ね?」
ジュリアン「ケヴィンは知らない」
ローズ「もう……今日はカイルの誕生日だから予定空けといてって、あれほどお願いしたのに!」
ローズ「マリーちゃんとジェシーさんも仕事優先だし……」
ジュリアン「プレゼント届いたでしょう?」
ローズ「プレゼントを貰えば良いって問題じゃないの!家族みんなでお祝いしたかったの!!」
ジュリアン「あぁ、そう」
ローズ「あぁ、そうって……自分の息子の誕生日を、思い出に残るようなものにしようって気がないの?」
ジュリアン「息子ねぇ……」
ジュリアン「そもそも『息子』ってのがよくわからないし」
ローズ「立派に成長した姿を見て、感慨深く思うでしょう?」
ジュリアン「思わない。俺は、息子がいるなんて知らなかったんだ」
ジュリアン「まだ一年も一緒にいないのに、何を感慨深く思えっていうの?」
ローズ「それは……」
ローズ(そっか……私やカイルの都合ばかり考えていて、気づかなかった)
ローズ(子供ができたことを知らせないってことは、この人からカイルの成長を見守る権利を奪うってことだったんだ……)
ジュリアン「ねぇ、誕生日って何するの?カイルは食べないけど、とりあえずケーキでも焼いてみる?」
ローズ「え?……うん」
ジュリアン「そう、じゃあよろしく」
ローズ(こいつ……)
ケヴィン「ローズ、カイル、本当にごめん!」
ローズ「他の人たちは仕事だから仕方がないとしても、ケヴィンさんの『明日だと思ってた』って何!?」
ローズ「いつも暇を持て余してるくせに、どうして今日に限って……」
セシル「ローズの怒りは、収まりそうにないな」
セシル「ケヴィンという当たりどころがあって良かった」
ジュリアン「兄さんって、本当にあの人と付き合ってるの?」
セシル「それで?俺に話って何だ?」
ジュリアン「大学、卒業したよ」
セシル「……そうか」
セシル「女性関係も問題ないようだし、カイルの面倒もよく見ているから外出禁止令は解いてやろう。よく頑張ったな」
ジュリアン「……初めて褒められた気がする」
セシル「褒めてねぇよ。マイナスからゼロになっただけだってこと、忘れんなよ」
ジュリアン「……」
ジュリアン「どうして俺に厳しくするの?実の弟でもないのに」
セシル「血は繋がっていなくても、俺は弟だと思っている。俺だけでなく、周りもな」
ジュリアン「……」
セシル「お前には、今後俺の下で働いてもらう」
ジュリアン「そのことだけど……俺は反ゴールド同盟のアイコンだよ?そんな奴を側に置いたら、問題になると思わない?」
セシル「お前はどうしたいんだ?」
ジュリアン「いいよ、俺は適当にやるから」
セシル「カイルにも、同じ人生を歩ませる気か?」
ジュリアン「……どうしてカイルが出てくるの?」
セシル「カイルは、お前の息子だ。どこに行っても、お前の影が付き纏う」
セシル「このままでは、カイルも真っ当な仕事には就けないことになるぞ」
ジュリアン「……」
セシル「逃げることができないなら、渦中に飛び込んで汚名返上するしかない」
セシル「お前のせいではないということは、わかっている。お前だけに背負わせるつもりもない」
セシル「ジュリアン、今後は俺の下で後継者としての教育を受けてもらう。そして最終的には、うちの新規事業の責任者に就任させるつもりだ」
ジュリアン「後継者……?」
セシル「俺の身に万が一のことがあったら、お前にゴールド財閥の会長の座を任せたい」
セシル「そのためにも、周囲にお前を認めさせたいんだ」
ジュリアン「俺が後継者って、正気?俺なんかに任せなくても、適任者はたくさんいるでしょう?」
セシル「財閥はな。だが、ゴールド家を任せられるのは、ゴールド家を知る者だけだ」
セシル「当主がいなければ、この家の使用人や護衛係は存在意義を失うことになる」
ジュリアン「……」
セシル「嫌か?」
ジュリアン「……やりたいかやりたくないかという話なら、嫌だ」
セシル「そうか。じゃあ質問を変えよう」
セシル「俺が消えたその時に、お前はこの家を見捨てることができるのか?」
ジュリアン「……」
ジュリアン「……だから兄さんは、この家に戻って来たの?」
セシル「そうだ」
ジュリアン「何それ、バカみたい」
セシル「……」
セシル「今、『バカ』って言ったか?」
セシル「外出禁止令……」
ジュリアン「ごめんなさい」
ジュリアン「はぁ……」
ジュリアン「良いよ、いつから始める?その後継者教育ってやつ」
セシル「……」
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ゴールド家は深刻な人材不足。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m