真っ直ぐな気持ちは、時に相手を苦しめる。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
マリオン「どうして毎回、貸し切りにするのよ?」
レオン「だって、二人きりでゆっくりしたいだろう?」
マリオン「私はゆっくりするよりも、店舗の話し合いがしたいわ」
レオン「いつもそれだな」
レオン「俺の条件は変わらないよ」
マリオン「……」
レオン「それより、感慨深いと思わないか?俺たちが初めて出会って一緒に働いていた店で、こうして過ごせるなんて」
マリオン「……そうね。懐かしいとは思うわ」
レオン「あの頃は、楽しかっただろう?」
マリオン「えぇ。あんたに捨てられるまでは」
レオン「捨てたわけじゃない」
マリオン「私より親の意見を尊重したのよ。捨てたようなものじゃない」
レオン「……」
マリオン「3年も前に離婚したなら、どうしてすぐに私に連絡しなかったのよ?」
レオン「連絡したかった。でも……」
レオン「潰れかけた不動産会社の社長なんて、マリーに相応しくない」
レオン「離婚しても会社を立て直すまでは、連絡しないと決めていたんだ」
マリオン「……あんたって、どこまでも勝手な男ね」
レオン「マリー、俺は過去を取り戻したいんだ」
マリオン「……え?」
レオン「別れた頃は、正しいことをしたと思っていた」
レオン「でも、ある日気付いたんだ。俺が信じて守ろうとした家が、どれだけ異常かということに」
マリオン「気付くまでにずいぶんかかったわね」
レオン「それでも気付けたのは、弟のおかげだ」
マリオン「2つ下の弟?」
レオン「あぁ」
マリオン「一流大学を主席で卒業して、大手企業に就職した弟が、ある日突然姿を消したんだ」
マリオン「どういうこと?」
レオン「会社を辞めて南の島に行くと言い出して、それきりだ。親は激怒して縁を切ったよ」
マリオン「思い切ったことしたわね」
レオン「俺よりも優秀で親に従順だった弟が、まさかあんなことをするなんて思わなかった」
レオン「弟が消えて、初めて気付いたんだ。親に従うことが正しいことだとは限らないと」
マリオン「会ったことがないから、確かなことは言えないけど……ずっと実家にいたあんたよりも、外に出た弟の方が早く気付けたのかもしれないわね」
レオン「そうだな」
レオン「ただ、気付いた頃には結婚して子供もいて、会社も継いでしまっていた」
マリオン「それで?今更、過去をなかったことにしてやり直したいって?」
レオン「そうだ」
マリオン「はぁ……」
レオン「マリー」
マリオン「……私たちは、もうあの頃のような子供じゃない」
マリオン「過去をなかったことになんてできない。わかるでしょう?」
レオン「……」
レオン「それじゃあ、現実的に考えてみよう」
マリオン「え?」
レオン「今、付き合ってる人はいる?」
マリオン「……」
レオン「いないよな。いたら、俺と何度もデートするはずがない」
マリオン「やかましいわね」
レオン「今後はゴールド財閥と手を組んで、Del Sol Valleyで商売をするつもりなんだろう?」
レオン「だとしたら、同じゴールド財閥の傘下に属する俺を味方につけておいた方が良い」
マリオン「……」
レオン「お互いフリーで、今後同じ街で暮らしていくんだ。それに、マリー」
レオン「俺たちは、嫌いで別れたわけじゃない」
レオン「ここまで条件が揃っていて、よりを戻さない理由があるか?」
マリオン「……」
レオン「この3ヶ月、一緒に過ごして楽しかっただろう?」
レオン「悪いことをしたと思っている。だから精一杯、誠意は見せたつもりだ」
マリオン「あんたが本気だってことは、わかったわ。でも……」
レオン「まだ許せない?」
マリオン「……」
マリオン「そうね」
レオン「……」
レオン「許してくれるまで、諦めるつもりはない」
レオン「俺は諦めないし、よりを戻すまでは店舗の契約もなしだ」
マリオン「そんなの……」
レオン「俺を卑怯だと思うか?それでも、構わない」
レオン「憎まれたり恨まれたりしたとしても、お前がいない人生を生きるよりずっとマシだ」
マリオン「レオン……」
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積極的すぎて相手を引かせるレオン、消極的すぎて相手を不安にさせるクリス。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m