十分な準備が整っていれば、それ以上時間をかける必要はない。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
マリア「来月にはまた様子を見に来るから、それまでよろしくね」
マリア「何かあれば、すぐに連絡して」
メイド「かしこまりました。マリア様」
リック「マリア」
マリア「リック……どうしてここに?」
マリア「今頃は、旦那様とSan Myshunoにいるはずでしょう?」
リック「アイザックとルークに代わってもらった。少し話せるか?」
マリア「……?」
マリア「えぇ……」
マリア「使用人と護衛係の派遣会社?」
リック「旦那様の提案だ」
マリア「そう……」
マリア「確かに、使用人の仕事が増えるのは有り難いけど……」
マリア「ワイアットは反対したでしょう?」
リック「あぁ」
リック「それでも、部下のためだと説得されれば従わざるを得ない」
マリア「ワイアットは結局、旦那様の決定が一番だもの」
リック「マリアには、ワイアットの元でメイド教育の責任者を務めさせるそうだ。副社長あたりの役職を与えられるだろう」
マリア「私が副社長?」
マリア「まさかこの歳になって、ビジネスに携わることになるとはね」
リック「お前はどう思う?」
マリア「私は賛成よ。アレクシス様の決定に、間違いはないもの」
リック「そう言うと思った。ゴールド家の使用人の忠誠心は、固いな」
マリア「護衛係だって同じでしょう?」
マリア「第一線を退くとなると、少し寂しい気もするけど……次世代の教育に携われるのは楽しみね」
マリア「私も休暇なんてしばらく取っていなかったから、旅行にでも行こうかしら」
リック「……」
リック「マリア」
マリア「何?」
リック「お前、まだ結婚願望はあるのか?」
マリア「え?」
リック「昔、言っていただろう?『私はレイチェル様とは違う。いつか愛のある結婚をするわ』って」
マリア「あれは……レイチェル様に腹が立ったから、勢いで言っただけよ」
リック「結婚したくはないのか?」
マリア「したくないというわけではないけど、どうしてもしたいというわけでは……」
リック「なんだ、現役を引退するなら結婚でもしようと思ったんだが……お前は花嫁候補には入れられないな」
マリア「え!?」
マリア「結婚って……本気?だってリック、あなた……」
リック「俺が結婚しないと決めていたのは、危険な仕事に就いていたからだ」
リック「第一線を退くなら、結婚しない理由はない」
マリア「え?それじゃあ……」
リック「お前がよければ、俺の妻になってほしい」
マリア「妻……?」
マリア「交際もしていないのに?」
リック「……」
リック「知り合ってもう20年だろう?お互いのことは知り尽くしてる。今更、交際期間が必要か?」
リック「第一、お前恋愛下手だろう?交際期間なんて挟んだら、いつ結婚できるかわからない」
マリア「それはそうだけど……」
マリア「ちょっと待って、もしかして今のがプロポーズになるの?」
リック「そうだな」
マリア「……職場のキッチンで?何気ない会話レベルで、私にプロポーズしたの?」
リック「ここは、俺たちが一番長く過ごした、思い出の場所だろう?」
マリア「そうだけど、指輪もなしにプロポーズなんて……」
リック「そう言うと思った。お前は何十年経っても乙女だな」
マリア「女性なら、誰でもプロポーズに夢を持っているものよ」
リック「はいはい、失礼しました」
マリア「リック?」
リック「マリア・ベージュさん」
マリア「?……はい」
リック「俺と結婚してください」
マリア「……え?」
リック「返事は?」
マリア「……」
マリア「もちろん、イエスよ」
マリア「リック、あなたいつの間に……?」
リック「理想的なプロポーズだろう?」
マリア「……そうね」
マリア「大旦那様にお仕えして」
マリア「アレクシス様とジュリアン様の成長を見守って」
マリア「あなたと出会ったお屋敷でプロポーズ……」
マリア「これ以上ないくらい、完璧だわ」
リック「そう言うと思った」
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今回も達成感がすごくて、最終回にしようかと思いました。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m