当たり前が当たり前であることこそが、特別である。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
ワイアット「私が教えられることは、以上です」
ケヴィン「……」
ワイアット「ケヴィン様、ゴールド家に入る準備はできました。もっと自信を持たれてください」
ケヴィン「確かに、ワイアットのお陰で知識は身についたけど……結局中身は変わってないし……」
ケヴィン「俺はセシルと違って自信家じゃないから、今後上手く立ち回れるかわからない」
ワイアット「変わっていない……ですか。確かに、その通りですね」
ケヴィン「え?」
ワイアット「ですが、それこそがあなたの魅力です」
ケヴィン「俺の魅力?」
ワイアット「財力や権力を前にすると、人は変わってしまうものです。実際にアレクシス様の周りでも、見たことがあるでしょう?」
ケヴィン「あぁ……」
ケヴィン「友達だと思っていても、ゴールド家の人間だとわかった途端に目の色を変える奴もいたな」
ワイアット「えぇ」
ワイアット「しかし、その方を責めることはできません。変わることこそが自然なのです」
ケヴィン「……そうなのか?」
ワイアット「アレクシス様の側で変わらずに在り続ける存在は、あなたくらいです」
ケヴィン「……俺が変だって言いたいのか?」
ワイアット「いいえ、魅力だと言っているのです。アレクシス様も、きっと変わらないあなたに惹かれたのでしょう」
ワイアット「どうぞプロポーズなさってください。リックもマリアも、それを望んでいます」
ワイアット「もちろん、私も」
ケヴィン「ワイアット……」
ケヴィン「ありがとう」
ケヴィン「セシル」
セシル「ん……」
ケヴィン「朝だぞ、起きろよ」
セシル「何だよ……俺は夕方まで寝る予定だ」
ケヴィン「今日は大切な記念日だろう?」
セシル「記念日?」
ケヴィン「俺たちが付き合い始めて2周年の交際記念日だ」
セシル「交際記念日って……お前は女子高生か」
ケヴィン「大切なことだろう?」
セシル「はいはい」
セシル「……去年は1周年記念なんて祝ったか?」
ケヴィン「いや、でも2周年は特別だ」
セシル「普通、1周年の方が大切だろう?」
ケヴィン「今日は交際記念日だけじゃなくて、婚約記念日にもなる予定だから」
セシル「婚約?」
ケヴィン「なぁ、セシル。俺と結婚してくれるか?」
セシル「……」
セシル「プロポーズのつもりか?」
ケヴィン「そうだ」
ケヴィン「本当は、オシャレなレストランや夜景の見えるラウンジに連れて行きたかったんだけど……お前はもう飽きるほど利用しているだろう?」
ケヴィン「だから、もっと特別なシーンでプロポーズすることにしたんだ」
セシル「特別?」
ケヴィン「あぁ。お前にとっては『普通』であることこそが、特別だろう?」
セシル「……」
ケヴィン「一緒に過ごせる時間は少ないし、お互いに毎日どこで何をしているのかもよくわからない。それでも……」
ケヴィン「寝ているお前を俺が起こして、一緒に朝食をとる。朝の習慣だけは、毎日変わらない」
ケヴィン「当たり前の日常こそが、俺たちにとっては特別だ。俺はこれから先、何年も何十年も、この特別な朝をお前と迎えたい」
ケヴィン「アレクシス・セシル・ホワイト=ゴールド」
セシル「俺と結婚してください」
セシル「……なるほど」
セシル「1回目のプロポーズよりはマシだな」
ケヴィン「セシル……」
セシル「ケヴィン・グリーン」
セシル「お前がケヴィン・ゴールドになってくれるというなら、OKだ」
ケヴィン「決まりだな」
ケヴィン「ようやく、本物の家族になれる」
セシル「そうだな」
ケヴィン「……」
ケヴィン「なぁ、セシル」
セシル「ん?」
ケヴィン「俺からも一つ、お願いがある」
セシル「何だよ?改まって……」
ケヴィン「頼むから、俺より先には死なないでくれ」
セシル「ケヴィン……?」
ケヴィン「俺はもう、大切な人を失いたくないんだ」
セシル「……そうか」
セシル「約束はできないが、健康的な生活を心がけるようにする」
ケヴィン「健康的な生活……」
ケヴィン「そうだ、朝の習慣にランニングも加えるか?時々リックやテディと走るんだけど、10kmも走ると気持ちが良いぞ」
セシル「……お前は俺を殺す気か?」
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リリアンも天国で祝福してくれているはずです。
↓1回目のプロポーズのお話は、こちら。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m