愛情が深いほどに神経質になるのが、親の性分。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
ディラン「義姉さんから呼び出しなんて、珍しいな」
ディラン「それで?用って何?」
リタ「あなたたちの交際について、話があるの」
エマ「話って?」
リタ「結婚の話が出ているそうね」
エマ「え?」
エマ「どうしてそれを……」
リタ「エマのお父様から電話があったの」
エマ「え……?パパ、リタに電話したの!?」
リタ「そうよ。娘が何するか分からないから、よく見ておいてくれってね」
エマ「信じられない……」
ライアン「怒られたのか?」
リタ「怒ってはいなかったけど、とても心配されていたわ」
リタ「ディランは、大学を卒業してもどんな仕事に就くか分からないし、エマは高校を卒業するまであと2年もある」
リタ「まだ自分のことで精一杯なのに、結婚ですって?お父様が心配されるのも無理ないわ」
ディラン「俺たちは、今すぐに結婚するなんて言ってないって」
リタ「未成年者相手に、口に出すこと自体が問題なのよ」
エマ「そんな……」
リタ「ライアン、こうなったのはあなたがしっかりディランを見ていないせいよ」
ライアン「え?俺?」
リタ「ラナを妊娠した時に約束したわよね?あなたがディランを監督するって」
リタ「いつかこうなると思ったから、あれだけ必死にお願いしていたのに……」
ライアン「大きな問題にはなっていないだろう?」
リタ「親御さんに心配をかけたことが、大きな問題よ!」
リタ「私たちを信頼して娘さんを任せてくれているのに、その信頼を裏切ったのよ?」
エマ「待ってよ、私たち何も悪いことしてない」
エマ「もう大人なんだから、将来のことくらい語ったって……」
リタ「大人?親御さんに学費を出してもらっているうちは、大人とは言わないの!」
エマ「……」
ライアン「……」
ライアン「リタもお父さんも、心配し過ぎだとは思うけど……まぁ、一理あるな」
ディラン「兄貴?」
ライアン「お前たちは、エイデンが公園に遊びに行くと言い出したら、一人で行かせるか?」
エマ「え?まさか」
ライアン「どうして?エイデンは公園の場所も、公園へ行くルートも知っている。どうして一人で行かせたらいけないんだ?」
ディラン「だって、危ないだろう?車に轢かれるかもしれないし、迷子になるかもしれない。誘拐されるかも……」
ライアン「そうだな。親御さんの気持ちが、少しはわかるだろう?」
ディラン「……」
ライアン「エマ、お父さんはお前を信用していないわけじゃない。不安なんだ」
エマ「不安?」
ライアン「世間には、自分の力ではどうにもできない、理不尽な出来事がたくさん転がっている」
ライアン「本当に大人なら、どんな理不尽な出来事に遭遇しても上手く対処できるだろう。でも、お前たちにはまだそのスキルがない」
ライアン「夢を見るのは勝手だけど、夢を語るなら、まずは周囲を安心させないとな」
ディラン「安心?」
ライアン「そうだ」
ライアン「ディラン、お前はまず将来の道を決めろ。大学を卒業して仕事を探して、一人前の大人であると証明するんだ」
ライアン「エマ、お前は高校を卒業して、Britechester大学に入学すること。勉強を最優先にしていることを証明して、お父さんを安心させるんだ」
ライアン「お前たちが大人で、十分生きていけるスキルを身につけていると証明できれば、もう誰も文句は言わないだろう」
エマ「……」
エマ(結婚って何気なく口にしただけなのに、まさかこんな大事になるなんて……)
エマ(私の一言が、そんなにパパを不安にさせたの?)
ワイアット「イヴ」
ワイアット「私に何か用か?」
イヴ「いいえ。私はただ、ワイアット様のお顔を拝見しているだけです」
イヴ「どうぞお気になさらないでください」
ワイアット「……」
ワイアット「私の顔など見て、楽しいか?」
イヴ「楽しいというよりも……とても幸せな気持ちになれます」
ワイアット「……幸せ?」
ワイアット「まだ交際したいと思っているのか?」
イヴ「……」
イヴ「私はいつだって、ワイアット様の特別になりたいと思っています」
ワイアット「……」
ワイアット「わかった」
イヴ「ワイアット様?」
ワイアット「アレクシス様にお仕えすることは、何よりも大切な私の誇りだ」
ワイアット「恋人ができたとしても、ゴールド家よりも優先することはできない」
ワイアット「それでも構わないというのなら、交際しても良い」
イヴ「……本当ですか?」
ワイアット「本当だ」
イヴ「……」
イヴ「ワイアット様」
イヴ「大好きです」
ワイアット「イヴ……」
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厄介でしかなかったイヴが、一周回って可愛く見えてきたワイアット。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m