時間は取り戻せなくても、絆は取り戻せる。
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
ケヴィン「ジェシー」
ケヴィン「そういえば、お前はどうなんだ?」
ジェシー「え?」
ケヴィン「お母さんには、連絡したのか?」
ジェシー「連絡どころか、家に来た。Del Sol Valleyではご近所さんだ」
ケヴィン「ご近所さん?」
ケヴィン「良かったじゃないか。交流できるチャンスができて」
ジェシー「……」
ジェシー「なぁ、ケヴィン。お前……」
ケヴィン「ん?」
ジェシー「クロエとエマのこと、愛してるか?」
ケヴィン「はぁ?当たり前だろう?」
ジェシー「……だよな。なんていうか、その……可愛くないと思うことあるか?」
ケヴィン「時々な。でも、愛していることに変わりはない」
ジェシー「……そうか」
ケヴィン「ジェシー?」
ジェシー「セシルは、俺の母親のことを嫌っている。まぁ、当然だな。仕事を妨害されて、恋人としても散々嫌がらせされたんだから。でも、俺は……」
ジェシー「好きとか嫌い以前に、母親のことがわからない」
ケヴィン「わからない?」
ジェシー「俺のことを愛してくれているのか、いないのか。その判断がつかないんだ」
ケヴィン「どういう意味だ?」
ジェシー「……子供の頃、母親が側にいてくれたことはない。誕生日もクリスマスも……ずっと仕事で家を空けていて、まともに顔を合わせることなんてなかった」
ジェシー「子供心に思ったよ。俺は、母親から愛されていないんだって」
ケヴィン「……」
ジェシー「このまま放っておかれるのかと思っていたのに、今になって、仕事や恋愛に口を出してくる」
ジェシー「俺には、母親が何を考えているのか理解できない」
ケヴィン「……なるほどな」
ケヴィン「お母さんは、若くしてお前を産んだそうだな?」
ジェシー「16歳の時だ。妊娠を機に結婚して、俺の出産を待たずに離婚した」
ケヴィン「それから、一人でお前を育てた」
ジェシー「あぁ」
ケヴィン「再婚はしなかったのか?」
ジェシー「……彼氏は何人もいたけど、再婚に至ったことはない」
ケヴィン「そうか。だとしたら……」
ケヴィン「お前のお母さんは、必死だったんじゃないか?」
ジェシー「必死?」
ケヴィン「俺は妻に先立たれてからセシルのサポートを受けるまで、3ヶ月間、クロエとエマを一人で育てた」
ケヴィン「あの子たちは4歳。可愛い盛りだ。それなのに、当時の記憶は残っていない」
ケヴィン「あの子たちが何を話して、何を食べて、どんな顔で寝ていたのか。何も覚えていないんだ」
ジェシー「……どうして?」
ケヴィン「仕事と金のことで、頭がいっぱいだったから」
ケヴィン「クロエとエマを守るには、金が必要だ」
ケヴィン「幼い子供を二人も抱えて、どうやって稼げば良いのか……子育てと仕事の両立で頭がいっぱいで、リリアンの死を悲しむ暇も、あの子たちに構う余裕もなかった」
ジェシー「……」
ケヴィン「なぁ、ジェシー。お前のお母さん、本当に女優という仕事が好きなのか?」
ジェシー「……え?」
ケヴィン「お前たちのデビューを邪魔した話をしたときに、言っていたんだ。『芸能界では、騙し合いや化かし合いは日常茶飯事。そんな世界に、誰が愛する息子を入れたいと思う?』って」
ケヴィン「それを聞いて、思ったんだ。この人は、本当に女優という仕事を愛しているのかな?って」
ジェシー「……」
ケヴィン「リリアンを亡くした当時、俺は22歳だった。稼げる仕事なら探せばいくらでも見つかる。でも、16歳の女の子が満足に稼げる仕事は限られている」
ジェシー「……俺のために、女優になったって言いたいのか?」
ケヴィン「元々女優を目指していたんだろう?でも、続けたかったか否かは、お母さんにしかわからない」
ケヴィン「同じような境遇を経験した俺が言えるのは……お母さんは、お前を愛してるってことだけだ」
ジェシー「どうしてわかるんだよ?」
ケヴィン「愛していないなら、わざわざセシルにお前との仲を取り持つようにお願いしたりしない」
ケヴィン「子供を育て上げて、ようやく心にも時間にも余裕ができた。だから、お前との絆を取り戻そうとしているんじゃないか?」
ジェシー「……」
ケヴィン「無理に判断する必要なんてない。好きか嫌いかわからないなら、まずは交流してみたらどうだ?」
ジェシー「……ジュリアンにも、同じようなことを言われたな」
ケヴィン「ジュリアンが?」
ジェシー「殺し合うほど嫌い合っているわけじゃないなら、仲良くしてみたら?って」
ケヴィン「……ジュリアンには、羨ましい関係に見えたのかもしれないな」
ジェシー「そうだな……」
----------------------------------------
このお店で撮影していると、気持ちが落ち着いて眠くなります。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m