会えない時間が長引くほどに、疑心暗鬼になるーー
↓Season 1のまとめは、こちら。
↓Season 2の第1話は、こちら。
クロエ「パパ、ただいま!」
エマ「ただいま、テディ」
ケヴィン「おかえり!二人とも元気だったか?」
エマ「この家出てから1ヶ月だよ?何も変わらないって」
ケヴィン「ホームステイ先はどうだ?」
クロエ「とても素敵なお家だよ」
エマ「ライアンもリタも優しくて親切だし、エイデンがすっごく可愛いの」
ケヴィン「良いお家で良かったな。高校はどうだ?」
クロエ「勉強は大変だけど、授業は面白いよ」
エマ「新しい友達もできたし……テディに会えないのは寂しいけど、毎日楽しい」
ケヴィン「パパには会いたくないのか?」
クロエ「もちろん、パパとセシルに会えないのも寂しいよ」
エマ「そういえば、セシルは?」
ケヴィン「あー……セシルは、実家に帰った」
クロエ&エマ『もう別れたの?』
ケヴィン「違う!」
ケヴィン「セシルのお父さんが亡くなったんだ」
クロエ「え……」
エマ「そうなんだ……」
ケヴィン「セシルは作曲家を辞めて、実家を継ぐらしい」
エマ「実家?」
クロエ「セシルって、確か実家もお金持ちだったよね。会社でも経営しているの?」
ケヴィン「あぁ、会社も経営している」
エマ「会社『も』?」
ケヴィン「お前たち、ゴールド家って知ってるか?」
クロエ「うん、San Myshunoの開発をした世界一の大富豪でしょう?」
ケヴィン「そう。お前たちがパパに内緒で遊びに行くくらい大好きな、San Myshunoの街を作った一族だ」
エマ「まだ怒ってるの?」
クロエ「ゴールド財閥のことは、学校の授業でも習ったよ」
ケヴィン「セシルは、そのゴールド財閥の御曹司なんだ」
クロエ「……え?」
エマ「……どういうこと?」
ケヴィン「だから、セシルはゴールド財閥会長の息子なんだよ」
エマ「でも……セシル・ブラウンじゃん」
ケヴィン「あれは、仮の名前。本名は『アレクシス・セシル・ホワイト=ゴールド』だ」
クロエ「信じられない……セシルってそんなにすごい人だったの?」
エマ「え?じゃあ、実家を継ぐってことは……」
ケヴィン「ゴールド財閥の次期会長ってことになるな」
クロエ「……」
エマ「……」
クロエ&エマ『どうしてそんな人が、パパなんかと親友なの?』
ケヴィン「パパ『なんか』って……」
ケヴィン「話せば長くなるけど……セシルは幼い頃、母親の実家で暮らしていたんだ」
ケヴィン「セシルの母親と俺の母親は仲が良くて、家族ぐるみの付き合いをしていたんだよ」
クロエ「そうだったんだ……」
エマ「初めて聞いた」
クロエ「ゴールド財閥の会長なんて、雲の上の存在だね」
エマ「パパ、大丈夫?」
ケヴィン「大丈夫って、何が?」
エマ「だって、世界一の大富豪だよ?お金も権力もあって、おまけにセシルは美人だもん。他の人に取られるんじゃない?」
ケヴィン「そんなこと……」
クロエ「大丈夫でしょう?セシルはあんなにイケメンで優しいジェシーさんと別れて、パパを選ぶ人だよ?」
エマ「まぁ、相当変人だとは思うけど……状況が変わったらわからないじゃん」
ケヴィン「ちょっと待て。まさかジェシー・カーキに会ったことがあるのか?」
クロエ&エマ『会ったよ』
クロエ「San Myshunoでセシルと会ったときに、ジェシーさんも一緒だったもん」
エマ「ご飯をご馳走になったよ」
ケヴィン「お前たち……よりによって、一番借りを作りたくない奴に……」
クロエ「セシルの実家のことはよくわからないけど、また会えるよね?」
ケヴィン「落ち着いたら連絡するって言ってたけど……」
エマ「どうかな?パパ、このまま捨てられちゃうかも」
ケヴィン「まさか……」
エマ「覚悟だけは、しておいた方が良いんじゃない?」
ケヴィン「覚悟って……」
ケヴィン(確かに、今までとは状況が違う……)
ケヴィン(これまではセシルも自由に過ごせたけど、今後は周囲だって黙っていないだろう)
ケヴィン(普通に考えれば、俺なんかと関係を続けるわけがないよな……)
ケヴィン「………………」
ケヴィン「いや、俺はセシルを信じる」
クロエ「何か言った?」
エマ「パパ、お腹空いた!もう食べて良い?」
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容赦のない娘たち(主にエマ)。
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