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『捨て犬……にしては大きいわね』
『ほら、起きて!こんなところで寝ていたら風邪引くわよ』
『早く自宅に帰りなさい』
『……?』
『……帰る家なんてない』
『家出でもしてきたの?』
『……』
『いいわ。いらっしゃい』
『料理は得意じゃないから、味は期待しないでね』
『……』
『お腹空いているでしょう?遠慮しないで食べなさい』
『……いただきます』
『あんたどこから来たの?』
『Oasis Springsです』
『どうしてSan Myshunoに?』
『場所はどこでも良かった。ただ、家にいたくなくて……』
『なるほど。”訳あり”なのね』
『どこか行くあてはあるの?』
『……』
『……って、行くあてなんてあったら、行き倒れていたりしないわね』
『あんた、よかったらうちの店で働かない?』
『店……?』
『そう』
『私は、この近くでラウンジを経営しているの。まだ立ち上げたばかりだけど……まぁ、あんた一人くらいなら食べさせていけるでしょう』
『ある程度お金を貯めて、住む場所が見つかるまではこの家にいて良いから』
『どうして……』
『え?』
『どうして見ず知らずの俺に、こんなに親切にしてくれるんですか?』
『そうね……』
『あんたが、どこか元カレに似ているから』
『……なんてね』
『……』
『San Myshunoは、大きな街よ。どこに行っても人が溢れている』
『でもね。人の数は多いけど、孤立している人が多いのよ。ある意味、地方よりもよほど助け合いが必要な街かもしれない』
『私は助け合いこそが、San Myshunoで生き抜くために必要な”掟”だと思っているのよ』
『San Myshunoの掟……?』
『そう』
『私は、マリオン。あんた名前は?』
『……レイです。レイ・ウェルド』
『そう。よろしくね、レイ』
あの人に拾われた日から、この店が俺の世界の全てになった。
酒の作り方から経営のノウハウ、苦手な接客まで……。
あの人に恩を返したい一心で、早く一人前になろうとあらゆる努力をしてきた。
いつかあの人に認めてもらえるように。パートナーとして、胸を張って隣に立てるように。
でも……。
あの人が選んだ”パートナー”は、俺ではなかったーー
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m