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フランシス「ルイスさんとは、お付き合いできません」
ルイス「そうですか……」
ルイス「デート開始から1時間も経たないうちにフラれたのは初めてです」
フランシス「フラれた？あなたにだってその気はないでしょう」
ルイス「フランシスさんは魅力的な方ですよ。でも、俺たちはそもそも相性が悪い」
ルイス「俺は男性と付き合いたいし、フランシスさんは女性として生きたい。どう考えても、俺たちは合いません」
フランシス「合わないとわかっているなら、どうしてデートの誘いを受けたんですか？」
ルイス「ウォルター君は賢い子ですから、何か意図があると思って」
フランシス「あの子のわがままに付き合わせてしまってすみません」
フランシス「いえ……ウォルターではなく、私のわがままですね」
ルイス「……」
フランシス「私は、自分を偽ることで今まで多くのものを失ってきました」
フランシス「大切な家族も、自分の人生も……私に残されたのは、ウォルターとこれからの人生だけ」
フランシス「もう何も失いたくないんです」
ルイス「女性として生きることが、ウォルター君のためだと？」
フランシス「ウォルターと私、二人のためです」
ルイス（女性として生きるのが、ウォルターのため？）
ルイス（フランシスさんの過去に何があったんだろう……？）
ウォルター「ルイスさん」
ルイス「……ウォルター？」
ルイス「紅茶で良い？」
ウォルター「うん。ありがとう」
ルイス「今日はどうしたの？」
ウォルター「この間のお父さんとのデートのことで、謝りに来たんだ」
ルイス「謝る？」
ウォルター「デート、失敗だったでしょう？」
ウォルター「僕のせいでお父さんを傷付けたし、ルイスさんにも迷惑かけちゃった」
ルイス「……」
ルイス「期待に添えなくてごめんね。でも、俺は大丈夫だよ」
ウォルター「……本当？」
ルイス「ウォルターは、どうしてお父さんと俺にデートの提案をしたの？」
ウォルター「それは……」
ウォルター「お父さん、いつか男性と恋愛してみたいって言ってたんだ。どうせ恋人ができるなら、ルイスさんみたいな人が良いと思って……」
ウォルター「ルイスさんは、僕の周りにいる大人の中で唯一まともな人だから」
ルイス（まとも……？）
ウォルター「お父さんに恋人ができて結婚することになったら、僕にとっても家族になる」
ウォルター「ルイスさんなら、家族になっても良いって思ったんだ」
ルイス「ウォルター……」
ウォルター「ルイスさんと付き合ったら、お父さんも男性のままでいてくれるかもしれないし」
ウォルター「みんな幸せになれると思ったんだけど……上手くいかなかった」
ルイス「ウォルターなりに一生懸命考えていたんだね」
ルイス「お付き合いできないけど、俺はデートして良かったよ」
ウォルター「そうなの？」
ルイス「お父さんと色々お話しできたからね」
ウォルター「怒ってない？」
ルイス「怒る？」
ルイス「家族になっても良いなんて言ってくれるウォルターには、感謝しかないよ」
ルイス「俺はウォルターのお父さんにはなれないけど、お兄さんにはなれるかな？」
ウォルター「お父さんより、お兄さんの方が良いかも」
ルイス「またいつでも遊びにおいで」
ウォルター「……うん」
ウォルター「ありがとう。ルイスさん」
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m
