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ウォルター「ルイスさん、まだ帰って来ない……」
ウォルター「今日は遅番なのかな？」
フランシス「ウォルター」
ウォルター「……お父さん？」
フランシス「ここにいたのね。お家に帰りましょう」
ウォルター「……嫌だ」
フランシス「ウォルター、あなたに話したいことがあるの」
ウォルター「僕はお父さんと話したくない。話したって無駄だもん」
フランシス「ウォルター！」
ウォルター「……ここお墓だよ？大きい声出さないで」
ウォルター「リリアンさんに怒られるよ」
フランシス「……あなた、リリアンを知っているの？」
ウォルター「え？」
ウォルター「あのお墓に入ってる人のことでしょう？」
ウォルター「墓碑に名前があるから知ってるよ。僕、よくここに遊びに来るから」
ウォルター「……お父さんこそ、知り合いなの？」
フランシス「知り合いもなにも……」
フランシス「リリアンは、私の妹よ」
ウォルター「え？妹……？」
ウォルター「お父さん、妹がいたの！？」
フランシス「そうよ」
フランシス「ウォルターにとっては叔母さんね」
ウォルター「でも苗字が違うし、今まで妹がいるなんて一言も……」
フランシス「あなたが大きくなったら話そうと思っていたのよ」
ウォルター「大きくなったら？どうして？」
フランシス「リリアンとは良い別れ方ができなかったから、話しにくかったの」
ウォルター「お父さん……？」
ウォルター「もしかして、お父さんが女性になったことと関係があるの？」
フランシス「……」
ルイス「あれは……」
ルイス「ウォルターと……フランシスさん？」
ルイス「……」
フランシス「私は、臆病で引っ込み思案な子供だった」
フランシス「一方、リリアンは活発で自分の意見をはっきり言える子でね。よくいじめっ子から守ってくれたわ……」
ウォルター「お父さん、お兄ちゃんなのに妹に守ってもらってたの？」
フランシス「情けないわよね」
フランシス「リリアンは、私が男性として生まれながらも女性の心を持っていることを知っていた」
フランシス「リリアンは時々、女の子向けのおもちゃやぬいぐるみを貸してくれてね」
フランシス「私にとって、秘密を共有できる唯一の理解者だった」
ウォルター「お父さん、子供の頃から女性になりたかったの？」
フランシス「女性になりたいんじゃない。私は元々、女性なのよ」
ウォルター「……」
ウォルター「リリアンさんとは、仲が良かったんだね」
フランシス「えぇ」
フランシス「あの事件が起こるまでは……」
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