状況を打破するためには、次の一手が必要であるーー
レイチェル「はぁ……」
キース「どうした?」
レイチェル「あのマリアって小娘、本当にうっとうしいわ」
キース「また何か言われたのか?」
レイチェル「私がジュリアンの面倒を見ていないって、責め立てられたのよ。
メイド長だかなんだか知らないけど、私に食ってかかるなんて何様のつもり?」
レイチェル「私がジュリアンを産んだのは、ゴールド家を手に入れるためよ。
別に母親になるつもりなんてなかったわ」
キース「放っておけ。今更お前が母親らしく振る舞ったところで、どの道ジュリアンはアレクサンダーの子ではないとバレているしな」
レイチェル「……どういうこと?」
キース「以前、ワイアットに言われたんだ。俺の瞳はジュリアンと同じ色だと」
レイチェル「マズいじゃない……上手くごまかしたでしょうね?」
キース「いや、否定もしなかったよ」
レイチェル「どうして……」
キース「バレたからなんだというんだ」
レイチェル「……え?」
キース「世間には、ジュリアンはアレクサンダーの実の息子だと認知されている。今更血の繋がりがないとわかったところで、ゴールド家がそれを世間に公表すると思うか?」
レイチェル「それは……」
キース「自分の息子だと思っていたら愛人の子でしたなんて、口が裂けても言えないだろう」
レイチェル「……確かに」
キース「そんなことよりも、一刻も早くジュリアンを後継者の座につかせるんだ」
キース「どんな手を使ってでもな」
レイチェル「そうね」
リック「失礼します」
リック「奥様、お車の用意ができました」
レイチェル「もうそんな時間?」
レイチェル「わかったわよ。行けば良いんでしょう、行けば」
リック「……」
リック「……奥様」
レイチェル「何よ?」
リック「キースとは随分仲が良いようですね。一体何の話をされていたんですか?」
レイチェル「あぁ」
レイチェル「別に。他愛もない話よ」
リック「そうですか……」
奥様から信頼は得られるようになったが、いまいち腹の中が読めない……。
懐に入り込むには、やはりあいつのポジションを狙うしかないかーー
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リックさんが本気を出すようです。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m