勝つために必要なのは、冷静な判断と揺るぎない覚悟ーー
レイチェル「ワイアット!マリア!?」
レイチェル「まったく、この家の使用人はどこにいるのよ?
私がいくら呼んでも、一向に来やしないんだから……」
リック「そりゃあそうですよ」
リック「レイチェル様は、嫌われてますからね」
レイチェル「リック……」
リック「でも、俺はお側にいますよ。この意味がわかりますか?レイチェル様」
レイチェル「……私に手を出そうというの?」
レイチェル「あなたは、あの人に従順だと思っていたけど」
リック「えぇ、従順ですよ。だからこそ……」
リック「多少、見返りを期待しても良いでしょう?」
レイチェル「……」
レイチェル「悪い男ね。いいわ、遊んであげる」
2週間前ーー
リック「失礼します」
アレクサンダー「あぁ、リックか。掛けなさい」
アレクサンダー「私に話しとは、何だ?」
リック「許可を頂きに参りました」
アレクサンダー「許可?」
リック「奥様に手を出す許可をください」
アレクサンダー「……」
アレクサンダー「何を企んでいる?」
リック「このままでは、アレクシス様が危険です」
アレクサンダー「どういうことだ?」
リック「奥様は、世間にジュリアン様が後継者だと触れ回っています」
リック「しかし旦那様は、アレクシス様が失踪した後も、ジュリアン様を後継者に指名する気配がない」
リック「……となれば、次に取る手段はひとつ」
リック「俺だったら、アレクシス様を消します」
アレクサンダー「……」
リック「アレクシス様の所在を知っているのは、俺と旦那様だけだ。
奥様はいずれ、俺からアレクシス様の居場所を聞き出そうとするはずです」
リック「もちろんアレクシス様は俺がお守りしますが、その後が読めない」
アレクサンダー「その後?」
リック「アレクシス様を消すことができないとわかった、後です。
キースが奥様に良からぬ企みを吹き込んでいるのはわかっていますが、今のままではその企みがわからない。だから……」
リック「奥様から直接、聞き出します」
アレクサンダー「……」
アレクサンダー「キースを警戒するのはもっともだが……レイチェルも侮ってはいけない」
リック「なぜです?」
アレクサンダー「あいつは人を操り永遠を生きる、特別な力を持っている」
リック「……特別な力?」
アレクサンダー「私はその力をゴールド家の支配下に置きたくて、レイチェルと結婚したのだ」
リック「……」
アレクサンダー「リック、お前が正しいと思うことをすればいい。ただし、危険なことはするんじゃないぞ」
リック「俺は護衛係ですよ?危険な目に遭わない日なんてありません」
リック「いつでも、死ぬ覚悟はできているーー」
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しばらくリックさん祭りです。
やる気スイッチです。応援よろしくお願いしますm(__)m