この屋敷には、決して口に出してはいけない秘密があるーー
リック「お疲れ。コーヒーもらえるか?」
マリア「リック、ちょうど良かった」
マリア「あなたに聞きたいことがあったのよ」
リック「何だ?」
マリア「リック、あなたアレクシス様の行方を知っているわね?」
リック「……は?」
リック「アレクシス様は、突然失踪したんだぞ。俺が知るわけ……」
マリア「あぁ、そう。ということは……」
マリア「ゴールド家の警備責任者であるあなたは、大切な後継者が失踪したというのに、行方を追うこともせずに仕事サボってのんきにコーヒー啜ってるってわけ?」
マリア「大した護衛係さんだこと!」
リック「あのなぁ……」
マリア「で、どうなの!?」
リック「……知ってるよ」
マリア「やっぱり!アレクシス様は今どこに?何をしているの?」
リック「それが言えないから黙ってるって、察しろよな……」
リック「ゴールド家の優秀な護衛係であるこの俺が、アレクシス様の行方を把握していないわけないだろう?」
リック「詳しくは言えないが、アレクシス様はお元気に過ごされてるよ。だから心配するな」
マリア「そう……」
マリア「お元気なのね。良かった……」
リック「泣くなよ……」
ガチャ
ワイアット「リック、またここで油を売っていたのか」
リック「げ、執事長様」
ワイアット「ジュリアン様が出かけられる。車を用意してくれ」
リック「かしこまりました」
マリア「……ねぇ」
マリア「ジュリアン様って、旦那様の子供なのよね?」
リック「あ?」
ワイアット「……どういう意味だ?」
マリア「アレクシス様はお母様似だったけれど、仕草や表情に旦那様の面影を見ることが多々あった」
マリア「でも、ジュリアン様には……それがない」
リック「お前、それって……」
マリア「ジュリアン様って、本当に旦那様の子供なのかな?」
ワイアット「マリア、口を慎め!使用人が口にするようなことではない」
ワイアット「二度と軽はずみな発言をするな。いいな」
マリア「ごめんなさい……」
マリア「……」
マリア(否定はしないのね、執事長様ーー)
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ジュリアンが空気。
↓リックの初登場回は、こちら。
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