複数の絆よりも、たった一つの絆に救われることがあるーー
ガチャ
ワイアット「お帰りなさいませ、ジュリアン様」
リック「ジュリアン様、明日は朝8時にお迎えに上がります」
ジュリアン「……わかった」
パタン
家と学校を往復するだけの毎日ーー
母親からは後継者だと期待され……。
使用人達からは敬遠されている。
同じ家にいても、父親とは顔を合わせることすらない。
俺は一体、何のために生まれてきたのだろう?ーー
ジュリアン「あの頃は良かったな……」
アレクシス『ジュリアン、また一人で遊んでいるのか?』
ジュリアン『……僕、みんなから嫌われてるもん』
アレクシス『誰がそんなことを言ったんだ?』
ジュリアン『……兄さんだって、僕のことが嫌いなんでしょう?』
アレクシス『嫌いなわけないだろう?』
アレクシス『いいか、ジュリアン。
俺たちは兄弟だ。だから助け合わないといけない』
ジュリアン『助け合う……?』
アレクシス『ジュリアンが困った時には、俺が助ける。
代わりに俺が困った時には、ジュリアンが助けるんだ』
ジュリアン『僕が兄さんを、助ける……?』
アレクシス『そうだ。ジュリアン、俺を助けてくれるか?』
ジュリアン『……うん!』
アレクシス『いい子だ』
俺に愛情を注いでくれたのは、兄のアレクシスだけだった。
その兄も、4年前に失踪してから連絡が途絶えている。
噂では俺に後継者の座を譲るために、自ら姿を消したらしい。
ジュリアン「後継者の座なんて、いらないのに……」
くだらない権力争いが、俺から大切な兄さんを奪い去った。
兄さんがいないこの家に、一体どんな価値があるというのだろう?
ジュリアン「会いたいな……」
この監獄のような家から、俺を助け出してよ。
アレクシス兄さんーー
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ジュリアン、まさかのアレクシス派
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