従順な態度を取っていても、心まで従っているとは限らないーー
レイチェル「ちょっと、ドレスを用意しておくよう言ったでしょう!?」
マリア「……ご用意しました」
レイチェル「オーダーメイドの新品を用意しろって言ったのよ!
去年のデザインなんて、恥ずかしくて着られるわけないじゃない」
マリア「ですが、あのドレスはまだ一度も袖を通されていません」
ワイアット「マリア、すぐに新しいドレスをご用意するんだ」
マリア「ワイアット……」
マリア「かしこまりました」
キース「……」
キース「近頃は、奥様にずいぶん懐いているようだな」
ワイアット「……キース」
キース「アレクシス様の失踪時とは見違えたよ」
ワイアット「私の行動を監視している暇があったら、ジュリアン様の勉強でもみて差し上げたらどうだ?」
ワイアット「君がジュリアン様のお側にいるところを見る機会がないのだが……教育係とは名ばかりなのか?」
キース「……今後、ジュリアン様の教育には今まで以上に力を入れるつもりだ」
キース「ジュリアン様は、いずれこの家を継ぐ大切な後継者なのだからな」
ワイアット「旦那様のご意志を無視して、ジュリアン様が後継者だと触れ回るつもりか?」
キース「旦那様のご意志もなにも、アレクシス様がいらっしゃらない今、これは決定事項だ」
キース「お前だってアレクシス様を見限ったからこそ、奥様に追従しているのだろう?」
ワイアット「……」
キース「姿を消した婚外子など忘れて、一緒にジュリアン様を盛り立てていこうじゃないか」
キース「なぁ、ワイアット」
ワイアット「……」
ワイアット「キース、君の瞳はジュリアン様と同じ色だな」
キース「……何が言いたい?」
ワイアット「我々アレクシス様付きの使用人を、あまり見くびらない方がいい」
ワイアット「賢く生きろよ、教育係殿ーー」
キース「………………」
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ワイアットは根に持つタイプ。
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