子供の純粋さは、大人には抗えない力があるーー
子犬「ワン!」
セシル「……」
ケヴィン「クロエ、エマ、誕生日おめでとう!」
クロエ「ありがとうパパ」
エマ「プレゼント、ワンコにしてくれてありがとう」
セシル「まったく……ようやく子供達に手がかからなくなったと思ったら、今度は犬か」
ケヴィン「二人の希望だったんだから仕方ないだろう?
子供達に命の大切さを教える、良い機会だ」
クロエ「ねぇ、名前何にする?」
エマ「えっとね……」
エマ「テディベアみたいだから『ベア』!」
セシル「犬の概念全否定かよ。せめて『テディ』だろう」
セシル「いいかクロエ、エマ。お前達が持っているぬいぐるみとは訳が違うんだ。
ちゃんと毎日世話しろよ」
クロエ「はーい」
エマ「セシルもありがとう」
セシル「あと俺のピアノに傷つけたら、弁償させるからな。ケヴィンに」
ケヴィン「……え?」
セシル「なんだよ、仕事順調なんだろう?」
ケヴィン「お陰様でそれなりに稼げるようにはなったけど……さすがにグランドピアノ買う余裕はないから」
セシル「ケチくさい親父だな」
クロエ&エマ『ねー』
ケヴィン「あのなぁ……」
ケヴィン「お前達、本当に仲良いよな」
クロエ&エマ『まぁね』
クロエ「ねぇ、セシル」
セシル「あ?」
エマ「セシルはパパが好きなの?」
セシル「……まぁ、そうだな。幼馴染で親友だからな」
エマ「違う!ママみたいにって意味」
セシル「え?」
クロエ「どうなの?」
エマ「パパのこと、好き?」
セシル「……。
あぁ、好きだよ」
クロエ「やっぱり!」
エマ「そうなんだ」
覗き込んだ二人の瞳が、あいつに似ていて……。
気が付いた時には頷いていたーー
セシル(子供相手に何を言っているんだ、俺は……)
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口は悪いけど、案外素直。
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