悲しい記憶は、簡単には拭い去れない。
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ローズ「ノエル、気に入った?」
ノエル「うん!ローズおば様が選んでくれる服は、全部可愛いもん」
ローズ「そっか、良かった」
ノエル「ローズおば様は、有名なスタイリストなんでしょう?」
ローズ「昔はね。ブランドを立ち上げた今は、デザイナーと会社経営の仕事がメインかな」
ノエル「会社経営?かっこいい」
ローズ「ノエルはファッションに興味あるの?」
ノエル「私は……」
ノエル「ファッションも好きだけど、音楽の方が好きかな」
ローズ「音楽なら、ジェシーさんに教わったら良いよ」
ローズ「ジェシーさん、元々は作詞家だから」
ジェシー(ノエル……?)
ノエル「……そうだね」
ローズ「……」
ローズ「ねぇ、ノエル」
ノエル「何?」
ローズ「どうしてジェシーさんを嫌っているの?」
ノエル「え?」
ジェシー「……」
ローズ「私やマリーちゃんとは仲良くしてくれるのに、ジェシーさんとは話もしないでしょう?」
ローズ「ジェシーさん良い人なのに、ノエルが嫌う理由が分からなくて……」
ノエル「嫌いじゃない」
ローズ「そうなの?」
ノエル「私やノアのために、一生懸命『お父さん』になろうとしてくれてるもん」
ノエル「嫌いなわけがない。むしろ……大好きだよ」
ローズ「それじゃあ、どうして……」
ノエル「大好きだから、仲良くしたくないの」
ローズ「……え?」
ノエル「仲良くならなければ、お別れをしても悲しくないでしょう?」
ローズ「どうしてお別れするの?ジェシーさんは、ノエルとノアのお父さんになりたいんだよ」
ノエル「……」
ノエル「私は養子になるの、初めてじゃない」
ローズ「……養子になったことがあるの?」
ノエル「うん」
ノエル「3年前、ある夫婦に引き取られたの」
ノエル「子供のいない夫婦で、私を養子にできたことをとても喜んでくれた」
ノエル「私を引き取ってからしばらくすると……お母さんに赤ちゃんができたの」
ノエル「私は弟か妹ができるんだって、とても嬉しかった。でも……」
ノエル「お父さんとお母さんは、私を施設に返したの」
ノエル「本当の子供が生まれるなら、私はいらないんだって」
ローズ「なんてこと……」
ノエル「この家にも、いつまでいられるか分からない」
ノエル「事情が変われば、また施設に戻されるかもしれない。だから……」
ノエル「お別れの時に悲しくないように、準備をしているの」
セシル『女子供に好かれるお前が嫌われるなんて、特別な理由があるとしか思えない。何か思い当たることはないのか?』
ジェシー「……そういうことか」
ローズ「ノエル」
ローズ「まだ話してなかったね。実は、私も施設で育ったの」
ノエル「……ローズおば様も?」
ローズ「そうだよ。私は養子になることはなかったけど……お姉ちゃんがいたから、平気だった」
ノエル「お姉ちゃんがいるの?」
ローズ「血は繋がっていないけどね。ノアにとってのノエルのようなものかな?」
ローズ「私たちは、高校を卒業してすぐにSan Myshunoに行ったの。お金を稼ぐためにね」
ローズ「今思えば本当に子供だった。たくさん間違えて、たくさん失敗して……」
ローズ「それでも私とお姉ちゃんが幸せを手にできたのは、側で支えてくれる人たちがいたから」
ノエル「支えてくれる人?」
ローズ「そう。マリーちゃんとジェシーさんだよ」
ローズ「親戚でもない私たちを、マリーちゃんとジェシーさんは妹みたいに可愛がってくれた」
ローズ「どんなにバカなことをしても、私とお姉ちゃんの味方になってくれた」
ローズ「ノエルのお父さんになろうとしているのは、そういう人たちだよ」
ノエル「……」
ローズ「大丈夫。ジェシーさんなら、絶対にノエルを手放したりしないから」
ローズ「私としては、手放すどころか親バカになりそうで怖いくらいだよ」
ノエル「……親バカ?」
ローズ「ノエルが可愛くて可愛くて、たまらないってこと」
ノエル「……本当にそんな風に愛してくれるかな?」
ローズ「私が保証する」
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ノエルは、幸せにならなければいけない子。
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